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子どもたちの現状を知り学ぶことから始まる里親制度@神戸市

2019.06.11

神戸市中央区にある神戸市こども家庭センターでは、里親制度をより多くの人に知ってもらおうと、ポスターなどを掲示する取り組みが行われている。同センターには、制度内容を事前にWEBで調べてから問い合わせする件数が以前より増えており、平成30年度の相談件数は60件、新規里親登録件数は23件。徐々にではあるが、里親制度の認知が神戸市でも広がりつつある。「不妊治療を経験し里親を考える40代の方が多いですが、実子がいるご家庭でこどもを迎えられる方もおられます」と神戸市こども家庭センターの担当者。

ハーバーランドにある神戸市こども家庭センター

行き交う人が目にする掲示ポスター

里親制度では、様々な事情で保護者と暮らすことができなくなった子どもを家庭に迎えて養育する4つの里親が設けられている。

【養育里親:一定の期間、または18歳(必要とすれば20歳)までこどもを養育する里親】
【養子里親:養子縁組をして里親となることを希望して養育する里親】
【専門里親:虐待を受けたり非行などの問題、障がいがあるなど特に支援が必要なこどもを養育】
【親族里親:親の死亡や行方不明、入院などの理由により親族が養育する里親】

里親になるため特別な資格は必要ないが、子どもへの養育に理解や熱意があること、研修を受講すること、経済的に困窮していないこと、養育里親希望者および同居人が欠格事由に該当しないことが要件となる。

※兵庫県・神戸市在住の場合
希望者は神戸市こども家庭センター、または家庭養護促進協会のどちらかで里親制度の説明後、養育里親研修(養子縁組里親希望者は、あわせて養子縁組里親研修を受講)を受ける仕組みだ。研修場所は、神戸市が委託する家庭養護促進協会 神戸事務所。基礎研修(2日間・講義&実習)、登録前研修(4日間・講義&実習)を受講後、同家庭センターへ申請。申請後、同家庭センターより家庭訪問調査、神戸市市民福祉調査委員会児童福祉専門分科会で審議を行い、認定された人は新規里親登録となる。なお、登録までの期間は申請時期にもよるが、3~6ヵ月程度、登録後は5年毎に更新研修あり。

家庭養護促進協会 神戸事務所のある神戸市総合福祉センター

家庭養護促進協会 神戸事務所によると、児童養護施設の入所児童のうち約7割のこどもが保護者からの虐待が理由で入所している。とくに虐待を受けた子どもは大人への不信感が強く、自分自身を受け止めてもらえるか試すように攻撃的な態度で表現するなど、こどもの心理ケアは年齢が高いほど難しくなっていくという。正月などの季節や月1,2回程度の週末だけ子どもを迎えるボランティア里親は、小さな子どもがいる若い世代や定年退職後世代の人などが、少しでも社会の役に立ちたいとの気持ちから参加する人も増加傾向のようだ。

ボランティア里親のパンフレット

公益社団法人 家庭養護促進協会 神戸事務所 事務局長 橋本さんは「新聞とラジオとタイアップした愛の手運動は、今年で57年目を迎え2,479人のこどもを里親に迎えていただきました。里親が望むこどもではなく、こどもが必要とする里親を探すのが私たちの仕事。現在は、グッズ販売も展開しながら啓発運動を行っています」と語る。

制度の資料請求、里親制度について詳しくは、神戸市こども家庭センター、または公益社団法人 家庭養護促進協会 神戸事務所まで。

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