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今どきの中学校給食【北摂EAST編】

2019.07.26

「あのおかずが好きだった」「私の時代はこんなメニューが人気だった」など学校給食には思い出がある人も多いのではないだろうか。小学校では完全給食が定着しているが、中学校になると地域によって実施にばらつきがあるようだ。時代の変化とともに、中学校給食の充実を求める声が高まる中、北摂各市の中学校では様々な形で給食が実施されており、それぞれに工夫を凝らしたものとなっている。

■高槻市は完全給食 主食の米は高槻産を使用

 高槻市の中学校では、学校内の調理室で作られた給食を提供している。調理施設に余裕のある小・中学校で、調理施設のない学校の分も調理し、配送する「親子調理方式」だ。配送される給食は、サラダや揚げ物など一部の献立を除き二重保温食缶(魔法ビンのような構造の保温性に優れた容器)にて保温される。小学校給食の献立を基本とし、量は小学校高学年の約1.2倍、また献立によっては1品追加したり一部を変更している。
 米は高槻産ヒノヒカリを使用。調理室のガス炊飯器で炊いているため、豆ごはんやタケノコご飯、中華おこわなど、季節に合わせたメニューが充実しているのが特徴。また「ガススチームコンベクションオーブン」という、蒸す・焼く・煮るといった調理ができるオーブンが導入されており、鮭のちゃんちゃん焼きやグラタンなどの焼き物、甘みを感じやすいスチーム蒸しで作ったサラダなど、「スチコン」を活用したメニューもある。また、地産地消の農産物をできる限り使用し「学校給食高槻農産物の日」として年に一度、高槻産農産物を使用した給食を提供している。アレルギー対応としては医師の診断書のもと、鶏卵・うずら卵・牛乳を除去し、フードジャーという保温容器に入れて個別提供することが可能だ。

■茨木市は委託給食業者がランチボックスで届ける

 茨木市では、利用する日を選び、事前に申し込む選択制。給食を利用しない場合は家庭からの弁当となる。学校で調理は行わず、委託給食業者が調理し、ランチボックスに入れて学校に運ばれる(はし・スプーンは生徒が持参)。1日単位で予約ができ、マークシートのほか、パソコン・スマホでもできる。支払いはコンビニ決済で、朝8時まで当日注文・当日キャンセルできるのが便利だ。
 配膳室には温蔵庫、冷蔵庫を設置し、ごはん・汁物は65℃以上、おかず・デザートは10℃以下で保管するなど衛生面にも配
慮している。また、食に対する関心を高めるため、人気のある献立を中心に、家庭で子どもと一緒に作れるようレシピを紹介しているほか、子どもたちが中学校給食のメニューとして出してほしいレシピを考える「レシピコンクール」も行っている。

■摂津市ではコンビニ決済 保護者向けの試食会も

 摂津市では、検討委員会での議論や生徒・保護者へのアンケートなど協議を重ねた結果、2015年6月から全中学校で給食が始まった。調理された給食をランチボックスに入れて、中学校の配膳室に運ぶデリバリー方式で、給食を選ばない日は弁当を持参する選択制。コンビニ決済ができる点や、ごはん・汁物は65℃以上で配送保管、おかずデザートは10℃以下配送保管などの衛生管理の徹底も他市と同様だ。
 摂津市では、中学校給食により親しみを持ってもらおうと、今年に入り給食キャラクターを誕生させ、全生徒から愛称を募集した。また食べたい献立をリクエストできる「リクエスト献立」や人気のある献立を集めた「人気献立week」の実施等様々なPRを行っている。また、入学説明会時に、新入生の保護者対象の試食会も開催されている。

■給食を「食」を学ぶ機会に
 中学校の給食メニューは「主食のご飯やパン、副食のおかず2~4品、牛乳」、価格は300円前後と、各市とも多くの人がなじみあるメニューだが、調理施設が学校にあるのか、調理業者から配送されるのか、全員給食か選択制かなど、違いがあることが分かった。
 しかし、どの場合でも衛生面や保温性に配慮されており、季節の旬や行事を大切にする献立など、ただ栄養を摂るだけでなく「生きた教材」として給食を活用するという意識は広まっているようだ。
 給食は、身心ともに成長できる栄養をしっかり摂れる。それだけなく食を教育の一環ととらえ、学ぶ機会でもある。地産地消や、季節ごとの旬の食べ物、行事にちなんだ料理や由来をみんなで一緒に学べるのは、学校給食ならでは。子どもの孤食や、フードロスなど食の問題も多い中、楽しく美味しく食べられる時間を子どもたちには過ごして欲しい。

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