クラウドファンディングで 地域ビジネスを活性化


優れたアイデアや技術、想いを持ちながら、資金がないために新規ビジネスに挑戦できない事業者は多い。こうした中で今、注目を集めているのが「クラウドファンディング」だ。自治体によるサポートも加わり、事業者に大きなチャンスを生んでいる。

■クラウドファンディングの大まかなタイプ
[投資型]
投資家から小口の資金を集め、その投資事業の売上が投資家への分配原資となる(利益が出れば若干の配当もある)。
出資者限定の商品やイベント参加などの特典もある。
[購入型]
出資金を元手に開発した商品やサービスを支援者にリターンする方法。先物買いネットショップのようなもの。
[寄付型]
出資者に対するリターンがないタイプ。被災地支援や途上国援助などに活用されている。

《目的は資金調達とファンづくり》
 クラウドファンディングとは、新しい事業や製品開発のプロジェクト内容をインターネット上で提示し、不特定多数の人に資金協力を呼びかける方法。主に「投資型」「購入型」「寄付型」の3タイプがある。豊中商工会議所は、2013年から投資型クラウドファンディングのミュージックセキュリティーズと業務提携し、ビジネス支援制度「CCIファンズ」を開始。豊中商工会議所では“ファンクラブ型資金調達支援事業”と位置付けている。この仕組みを使って、資金調達だけでなく、プロジェクトに共感・感動するファンをつくり、商品やサービスの購入や口コミでの拡散にもつなげることができ、すでに増収につなげた事業者もある。
 投資型のプラットフォームを運営するには、金融商品取引法のもと、金融商品取引業者として登録が必要(寄付型や購入型の場合は、金融商品取引法の規制は受けない)。そのため、利用する事業者も、会社情報はもちろんのこと、財務内容や事業計画、資金用途など細かく公開。綿密な審査があり、初期費用や運営手数料もかかる。投資家に進捗状況や売り上げ報告をする義務もある。
 投資型は、計画通りの売上がなければ元本割れするなど、投資家にもリスクが伴う。しかしそれだけに事業者も期待に応えようと懸命に事業に取り組むという。吉田さんは、「投資家は、配当目当てではなく、その事業に共感し、応援したい、事業に参画したいと思っている人が多い。事業者にはそれなりの覚悟が必要ですが、そういった応援してくれるファンを増やし、SNSでの情報発信やイベント開催など、ファンと良い関係を築ける意義は大きいです」と話す。

《活用事例① 2年で急成長「鯖や」》
 2007年設立の「鯖や」は、豊中市庄内を拠点に鯖寿司専門店を経営し、スーパーや百貨店などで販売する事業者だったが、2013年にとろさば専門の飲食店を立ち上げるため、開店資金の調達にCCIファンズを活用。すると、とろさばに絞ったユニークなコンセプトが話題となり、4カ月足らずで目標金額の約1,800万を達成。2014年1月、大阪市福島区に「とろさば料理専門店SABAR」1号店をオープンした。その後、東京の恵比寿に3号店を出店した際もクラウドファンディングを活用して着実にファンを増やし続けた。
 一方で、鯖やがクラウドファンディングをはじめた当初、利用する事業者はベンチャー企業やクリエイターが多く、飲食店の成功例は少なかった。あえてクラウドファンディングに挑戦した理由を右田氏はこう語る。
「クラウドファンディングは今後ブームになると確信していました。それに、アイデアで勝負する自分たちのスタイルに向いていると思ったんです」
 今年7月には初の海外店をシンガポールにオープンさせた。飲食店立ち上げからわずか2年で海外にも出店し、現在は国内外合わせて12店舗に。売上高は2012年の2億円から11億円へと急成長を遂げた。その要因について右田氏は「なによりも、鯖に対する熱意。とろさばをもっと世に広げたいという熱い想いです。そして、どうやって投資家のみなさんに喜んでもらえるか、リターンをじっくり練り上げることが大事」と話す。
 今後も、投資家がオーナーになれる鯖のテーマパークやDHAなどの栄養機能性を上げた鯖の養殖など、クラウドファンディングを活用した革新的な事業を計画し
ているという。

《活用事例② 箕面でオリーブ栽培》
 箕面にも、クラウドファンディングで目標金額を達成させ、夢を叶えようとしている人がいる。自然派ワインの販売店「北摂ワインズ」を営む冨鶴高さんだ。冨鶴さんは以前より、箕面はオリーブの栽培に適していると感じ、独自で調査。大阪初の完全無農薬オリーブオイルの製造を思案していた。そんなとき、縁もあって傾斜にある好立地の休耕田を無償で貸してもらえることに。同時期、苗の購入費用を集めるために、購入型の「READYFOR」(レディーフォー)というクラウドファンディングを利用しはじめた。結果21日間で苗購入用の資金120万円、その後ビニルハウス建設用にプラス60万円を集めることができた。そのリターンは、投資金額に応じた無農薬ワインや無添加調味料などだ。
 資金は順調に集まったが、本来の目的はオリーブ事業を応援してくれる“仲間集め”だったという。投資型の商品紹介のページは、プラットフォーム会社が制作するが、購入型の場合は基本的に事業者本人が書く。冨鶴さんは「文中に、出資してくれる人がワクワクできること、そしてその事業に対して当事者になれるイメージを盛り込むことが大切」と話す。植樹式やバーベキューなどのイベントに招待したり、オリーブオイルの生産が可能になった際には優先的に予約を受け付けたりする予定だという。今後、圧搾機の購入に再度クラウドファンディングを利用し、大阪初の完全無農薬オリーブオイルの販売は3年後の2019年を目指す。

■多岐にわたるクラウドファンディングの活用例
個人支援団体:お祭りを知らない孤児養護施設の子ども達と最高の人力祭をしたい
災害支援:震災の津波で流失したお地蔵様を再建したい
自治体の支援事業:キラリひょうごプロジェクト
個人活動:米国大学院でピアニストとして腕を磨きたい
イベント開催:産前産後女性の健康に関するシンポジウムを開催したい


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