新たな地方創生の鍵となるか クラウドファンディング型ふるさと納税


 ふるさと納税制度が開始され、今年で10年となる。納税者にとっては、自分の好きな自治体に寄付ができたり、税金が控除されるなどメリットも大きい。最近注目されるクラウドファンディング型を取り上げる。

【都市部で注目される共感型】
 もともと、多額の税収入で潤う首都圏の自治体と、人口流出と資金不足に苦しむ地方自治体の格差を埋めるべく、生まれ育った故郷を税制で貢献する仕組みを目指してはじまった。寄付金は、子育てや教育、まちづくり、災害支援などに役立てられている。2015年の制度改正で、ふるさと納税の限度額が引き上げられ、確定申告も不要となったことで利用者が急増。2017年度には3,653億円の寄付額を記録した。
 一方で、多くの寄付金を集めるために、自治体が寄付者に送る返礼品の競争が過熱。高額なものや換金性・資産性のあるものを返礼品とした自治体もあった。当然、人口の多い都市にとっては、ふるさと納税による資金の流入よりも流出が上回ることも多い。そんな都市部で、商品の返礼ではなく共感を与えるクラウドファンディング型ふるさと納税が注目されている。例えば、茨木市内で撮影した映画「葬式の名人」の制作費を募るプロジェクトや、神戸市が実施した、起業家たちの育成・拠点を創り出すことを目的にした谷上プロジェクトなどがある。
 クラウドファンディングは、商品開発や起業など様々なプロジェクトに対しネットで寄付を募り、完成した商品やサービスなどのリターン(返礼)を受ける仕組み。住民税などの控除はない。これに住民税控除のあるふるさと納税を組み合わせることで、寄付額の増加を目的としている。

【地域の問題解決の突破口に】
 神戸大学大学院准教授の保田隆明氏によると、ふるさと納税は自治体に資金調達の機会を与えるとともに、返礼品を販売する企業の活性化も期待できるという。「最も重要なのはふるさと納税を通して、地域の課題が浮かび上がってくることです。各自治体ともどの問題を優先的に解決していくかは各議会が決定するため、どうしても社会的弱者や少数派の課題は後回しにされやすい。しかし、ふるさと納税を利用して問題意識や取り組みの意義に共感する人や資金を募ることで、小さくても重要な課題に取り組めます」と話す。
 国としてもさらなる有効活用をめざし、今年度より起業家支援や移住交流促進をテーマにしたクラウドファンディング型ふるさと納税への支援をはじめた。ふるさと納税が、地域の問題解決のひとつとして定着していきそうだ。


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阪神版
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