健康寿命をのばす 神戸、芦屋、西宮市の取り組み


 厚生労働省が発表した「平成29年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は男性で81.09歳、女性は87.26歳となり、過去最高を更新した。しかし一方で、介護保険制度における要介護または要支援の認定を受ける高齢者は年々増加している。医療や介護に依存せず、自立した生活ができる期間である「健康寿命」の延伸が、全国的な課題となっている。健康寿命の延伸に向けた各市の取り組みを取材した。

●神戸市

【ICTを活用して健康を見える化】
 神戸市では、「誰もが健康になれるまちKOBE」を目指して、市民P H R( P e r s o n a l H e a l t hRecord)システムを活用した健康事業を打ち出していくことが決定している。PHRシステムとは、個人の健康に関する情報を収集・保存し、活用する仕組みのこと。本人同意のもと、自治体が保有する健康診断などの健康データを一括管理するという。来春には市民向けにアプリを公開する予定で、一人ひとりの健康データに基づいた保健指導などを提供していく。今年8月に約2万人を対象に行われた「健康とくらしに関するアンケート調査」の回答もPHRシステム内で管理が可能で、今後も継続して調査を行う予定。市は「健康状態を何年にもわたって追いかけることで、健康と社会的要因との関連を明らかにし、健康格差の縮小に取り組んでいきたい」とする。
 またアプリ内には、ウォーキングやアンケートへの回答で得られる健康ポイント機能を搭載。たまったポイントはがん検診の無料券などに利用でき、健康の見える化だけでなく、より健康になれる仕組みを備えたシステムになると予想される。

【全国初、認知症支援の神戸モデルが開始予定】
 今年度からは、心身の活力の低下をチェックするフレイルチェックを薬局等で無料で受けられる体制を整えた。また今年度は「神戸市認知症の人にやさしいまちづくり条例」を施行。来年1月からは全国に先駆けて、認知症の人を支援する「神戸モデル」の実現を目指す。これは認知症の疑いの有無を診る検診と、疑いのある方を対象とした精密検査を自己負担のない仕組みとし、認知症の早期受診を促すもの。さらに4月からは、認知症と診断された人には、市が賠償責任保険に加入し、本人が事故で損害賠償責任を負った場合に最高2億円を支給するなど、手厚い支援を提供していく。

●芦屋市

【官民一体の「こえる場!」で柔軟にアプローチ】
 芦屋市では、新たな行政改革の取り組みとして、昨年度から官民一体で地域づくりを進める「こえる場!」がスタートしている。これは、地域貢献に取り組む企業や団体と行政、そして市民が枠組みを超えてつながり、共に地域力を高めていく取り組み。昨年度は、健康増進や高齢者の社会参加、全世代交流などをテーマにお互いにアイデアを出し合い、全体で検討を重ねてきたが、今年度から来年度にかけてはそれが具体的な事業として実現されそうだ。市は「健康意識の高い人だけではなく、市民全体に対してアプローチするには、所管や官民の枠組みを超えた横断的な取り組みや、意識しなくても気がついたら健康になっていた、というようなアイデアが必要。地域全体の底上げを目指したい」と話す。コンパクトなまちだからこその、芦屋らしい取り組みが期待される。

【住民同士の交流から生まれる生きがいづくり】
 保健福祉センター2階にある介護予防センターでは、運動トレーナーによるグループエクササイズや介護予防教室を実施している。体力の維持・増進だけでなく、友達づくりや教室後の交流などが生きがいづくりにも繋がっている。また、教室だけではなく、自主的に体操などに取り組むグループへのトレーナーの派遣や、住民同士が気軽に集まる場づくりへの補助金の交付を行い、住民主体の活動を支援。市は「できることややりたいことをする中で、結果的にそれが健康に繋がるという施策を打っていきたい」と話す。

●西宮市

【活力ある地域づくりを市民自らの手で】
 西宮市では、市民が自主的に取り組む介護予防体操「西宮いきいき体操」のグループづくりを推奨してきた。平成24年から今年8月末までに213グループが結成され、8割以上の参加者が筋力アップしたという結果が出ている。体操指導やグループ運営のフォローは市が行うが、主体は市民。体操だけではなく、レクリエーションやお茶会などを組みあわせ、自分たちの工夫で楽しみながら運営を続けている。また、体操のポイントを伝えたり歯科衛生士の指導を受けたりする講座を開き、運営をリードする介護予防サポーターを養成。現在、参加者は7,292人、サポーターは2,033人にのぼり、みんなで活動を支えあうことで継続できる体制を作っている。「地域包括支援センターとも連携して支援しており、住民同士の見守りにもつながっています。今後は300グループを目指したい」と話す。

【人とつながる社会的役割が生きがいに】
 シニア世代の相互の助け合い活動「シニアサポート」にも取り組んでいる。これは、65歳以上の利用会員に対し、概ね60歳以上の提供会員が身の回りの家事等を手伝う有償のボランティアで、利用会員ではなく、提供会員の介護予防を目的としている点がポイント。買い物代行や庭の手入れや話し相手などを行う中で、誰かのために活動し感謝されることに「自分が行かないと」とやりがいを感じる人も多いという。8年目を迎えたが、今後は提供会員の増加に取り組み、シニア世代の社会参加を促進していく。
 また今年度は、平成26年度からモデル事業として3カ所で行なってきた常設型の拠点づくりを本格的にスタート。地域住民が社会福祉法人などと協働でカフェ等を常設し、運営する。気軽に立ち寄り、子どもから高齢者までが多世代交流できる場になると期待されている。


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阪神版
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