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〈コロナ禍の先へ ~挑戦者たち~〉
ジャズドラマー/KoToサウンド合同会社代表
木曽稔之さん

2021.05.02
コロナ前の2019年夏、京都のライブハウスで演奏する木曽さん。

 

プロのジャズドラマーとして活躍する傍ら、茨木で数々のイベントを企画・運営してきた。2018年には音楽イベント「Ibaraki Jazz&Classic Festival」で実行委員を務め、イベントの設計やミュージシャンの手配、飲食店との出店交渉などを担った。50人近くのプロミュージシャンが出演し、約3000人が訪れた。会場で80代と見える男性に呼び止められた。「本物のジャズを久しぶりに聴いた。自分の住んでいる町でこんな音楽が聴けるなんて思わなかった」。若い頃ジャズバーに通っていたという男性は、涙ながらにそう話し、礼を言ったという。地元で生演奏を必要としてくれる人がいる。そう強く実感した。

翌年には約4000人を集客。市街地での音楽イベントでありながら、周辺住民からのクレームはゼロ。訪れた人からも好評で、3年目も開催するはずだった。

そこへコロナが直撃した。昨年2月には企画していた他のイベントもほぼ中止。自らが演奏する機会も減っていき途方に暮れた。SNSには多くのミュージシャンの悲痛な叫びが書かれ、実力があるにもかかわらずプロになるのをあきらめる若者もいた。

音楽は心や時間に余裕がなければ聴きに来てもらえない。自分の演奏はともかく、まずは日常生活に不安がない状況を作る方が先だと考えた。

国や市からの給付金などを運転資金に、町の活性化に力を注いだ。緊急事態宣言を受け、休業要請が出た翌日の4月15日には、茨木専用の宅配サービス「イーバーイーツ」を立ち上げた(現在、宅配は終了)。メディアにも取り上げられ、地元の人からは「何とかなると希望になった」と言われた。昨年7月には市役所のレストランで、生演奏付きのビアガーデン「いばのみ!」を実施。地元飲食店が出店し、満席になる日もあった。さらに今年1月、2度目の緊急事態宣言が出され、午後8時以降の店内飲食が制限されたときには、テイクアウト情報などが閲覧できる地図アプリ「いばらき街ごはん」を開発。現在、利用者は約2500人に上る。

現在は、大学生らと協力しながら学生の居場所や町の人と交われる場づくりに取り組んでいる。コロナをきっかけに新たなつながりができたという木曽さん。逆境をバネに、町の未来を見据えている。

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