俳句コーナーVOL.24 2021年9月入選作品を紹介!
2021.08.31
7月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
子雀や顔の裏まで見せて啼く
茨木市 山﨑登代子
感じたことを正直に詠うこと。それが一番です。子供の雀が餌を欲しくて啼いていた。あまり大きく口をあけたので、顔の裏まで見せているようにと思った。この瞬間の正直な把握が詩になったということです。
【 入 選 】
遠目にも母は元気や夏帽子
茨木市 河本 要
夏帽子のお母さん。遠くからでもその元気さが伝わります。嬉しいことです。
楸邨忌擦り寄る猫を抱き上げて
豊中市 上杉千代子
俳人加藤楸邨の忌日は七月三日。楸邨の猫の子の句を思い出します。
存へて短夜のなほ長きかな
西宮市 宮部志津枝
このような境地に憧れを感じます。上五に万感の思いがこもっています。
オルガンのけだるき音や虎耳草
茨木市 廣田 静子
「虎耳草」はきじんそう、ゆきのしたと読みます。取り合わせがよいです。
雨はわれひとりに降るや心太
吹田市 堀田恵美子
「心太」はところてんと読みます。ぽつんと感じた雨が契機の心太でしょう。
【 佳 作 】
山々の緑劣らぬ青田かな
吹田市 川内 幸子
遠吠の犬と語らん夏の床
豊中市 田村由紀子
掬はれて金魚家族となりにけり
吹田市 秋山 寛
山深く追ひ込まれたり鰯雲
豊中市 安藤 知明
夏休み博物館に団子虫
西宮市 宮部志津枝
◆ つぶやき評 ◆
じっと自然や人間を眺めていれば、はっとすることが起こります。それをすかさず五七五の十七音の俳句にしてゆく。この「はっとする」というところに詩情が生まれ出て来る。そのとき言葉は新鮮な姿を現してくれます。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)
1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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山口昭男先生の最新巻の紹介
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