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失敗を恐れず挑戦する「自己効力感」を育てる そのために必要な親からの言葉かけとは?

2021.09.20

「うちの子、無関心で頑張らないのはなぜ?」と悩んでいるお母さんに知ってほしいのが「自己効力感」です。なにごとも前向きに取り組んでいけるこのチカラを心理学の専門家である松村亜里さんに教えてもらいました。

 

「やればできる」より「やってみよう」と
いう気持ちを育てることが大切

 

子どもの能力を伸ばしたい、チャレンジ精神を育みたいと思っているお母さん達に知っていただきたいのが「自己効力感」です。これは結果を恐れずに挑戦していくことができる力のことで、自己効力感が高いというのは次のような意味を含みます。自分は周囲の人や物事に影響を与えられる人なのだという「信念」。自分は課題を解決し、目標を達成できるという「自信」。そして、今はできなくても、努力すれば将来できるかもしれないという「希望」。この3つを子どもに持たせてあげることで自己効力感は高まります。

 

自己効力感は「やればできる」という気持ちや「自分なら目標を達成できる」という自信だけを指して説明されることが多いですが、私自身研究し、実践してきて、これはちょっと違うと思っています。「やればできる」だけだと、できない可能性があるものには挑戦しないので、経験が限られてしまいます。最も育てたいのは、自信がなくても「やってみよう」と思える気持ちです。「(やればできるのかはわからないけど)とりあえずやってみよう」と思える気持ちを育むための言葉かけをしてほしいと思います。

 

まずは普段の言葉かけの中に「賢い子」「あなたならできる」「やればできる子」などがあれば、今日から即やめましょう!能力だけを褒めると、子どもたちは失敗を恐れるようになり、挑戦をしなくなる傾向に陥ることが研究でわかっています。何か良い結果を残した時には、「あきらめずに最後までやったもんね」「ママ、○○ちゃんががんばっていたところを見ていたよ」と努力を褒めるようにしましょう。能力があるかどうかは関係ない、努力することが素晴らしいのだというメッセージを受け取った子は「次もがんばろう」と挑戦する気持ちが芽生えます。失敗を恐れず挑戦していく姿勢を親子で身につけていきましょう。

 

「自己効力感」がアップするポイント

性格的な強みにもっと目を向けよう

 

親としては愛があるゆえに、子どものダメなところが見えてしまうものですが、弱みの裏には強みもあるので、「優柔不断」は「優しさ」、「がんこ」は「軸がブレない」、「のんびり」は「忍耐強い」、「おとなしい」は「思慮深い」というように裏を表にひっくり返して、よい性格を認めてあげましょう。

 

【Books】
「子どもの自己効力感を育む本」

 

著/松村亜里 定価/1,650円
出版 : WAVE出版
Amazon、楽天ブックスなどで購入可

「あなたは賢い」「天才だよ」。良かれと思ってかけてきた言葉が、実は自己効力感を下げていたとしたら!?一体どんな言葉をかければいいのでしょうか。本書では、子どもたちの自己効力感を最大限に引き上げる声がけを30のシチュエーションでご紹介

 

 

【この方に聞きました】

松村 亜里 さん

ニューヨークライフバランス研究所代表

母子家庭で育ち、中卒で大検を取り、朝晩働いて貯金をしてニューヨーク市立大学入学。首席で卒業後、コロンビア大学大学院修士課程(公衆衛生学)修了。秋田大学大学院医学系研究科博士課程(公衆衛生学)修了。医学博士/臨床心理士/認定応用ポジティブ心理学プラクティショナー。

 

【取材協力】

ニューヨークライフバランス研究所
https://lifebalanceny.org/

「より幸せに生きる方法」を科学的に研究しているポジティブ心理学やウェルビーイングの学問を、誰もが毎日の生活に取り入れやすい形で伝えている。

記事内の情報は取材当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。