俳句コーナーVOL.35 入選作品を紹介!
2022.07.29
6月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
鴉追う鳶に持たせし扇かな
茨木市 角島 健二
俳句ではこのようなことも表せるということです。本当は鳶に持たせたいということでしょうか。この句の良さは、季語です。団扇では駄目なのです。非現実を真実の詩にするのが季語の力です。
【 入 選 】
葉桜や門扉の軋む火葬場
吹田市 辻井 康祐
門扉が軋んでいると見つけたところが俳句。季語も響いています。
噴水の裏表なく人の佇つ
吹田市 小澤 桔梗
噴水に裏表があるというのが面白い。佇む人は気がついていないでしょう。
拝啓のあとの続かぬ遅日かな
茨木市 廣田 静子
手紙の言葉が出てこない。そのもどかしさが遅日へとつながってゆきます。
水無月の病衣はらりと着せられて
豊中市 上杉 千代子
水無月の病衣がよい。同じ「六月」という季語と比べれば一目瞭然です。
筆談のたをやか余花の雨しづか
和泉市 押見げばげば
「たおやか」と「しずか」。「か」というやさしい響。リズムが心地よいです。
【 佳 作 】
白南風やファルボールの旗左
豊中市 佐々木 愛子
カルメンの唇のごと石榴咲く
豊中市 小倉 佳子
地下鉄のここより地上青嵐
吹田市 辻井 康祐
ポケットに白きハンカチ角を出す
大津市 別役 昌子
青の空ひとりの刻を吸って夏
豊中市 稲中 晴彦
◆ つぶやき評 ◆
よくこの句は説明的ですと言われます。そこを脱する一つに発見があります。奇異なもの、珍しいものを見つけるのではないです。今まで見ていたものの中に新しい気づきを見つけることです。自然はいつもそれを見せています。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)
1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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