食べ物はもちろん、身に着ける衣服や体に触れるものにも並々ならぬこだわりを持つエストニアの人たち。服の素材にはオーガニックウールやコットンが好まれ、赤ちゃんの肌にも優しいヤギのミルク由来の石鹸が好まれるなど、安心安全な素材を選ぶ意識は徹底しています。

　また、環境に優しい素材を選びつつ、シンプルで機能的な服を好むのがエストニアの人たち。根底にあるのは、「いいものを大事にし続ける」精神です。例えば、「服は10着くらい持っていればOK」と考え、上質なジャケット1着を大切に着て、インナーや小物で上手に変化をつけながらコーディネートを楽しむ人が大勢います。耐久性などの機能面もデザインを構成する大切な要素で、安心安全かつ上質な素材の服を選ぶのがエストニア流です。

　ケルプマンのようなデザインが好まれる背景には、エストニアの気候も関係しています。厳しい冬が長く続く北欧諸国では、日照時間の短いどんよりした空模様がメンタルに悪影響を及ぼすと言われています。そんな風土だからこそ、エストニアの人たちは、暮らしの中で上手に対策しています。

　その一つが、カラフルなコーディネートを取り入れること。気分が上がる色を身に着けることで、メンタルの落ち込みを防ごうというわけです。同様に、食事面ではビタミン類を積極的に摂取したり、インテリアにも気分が上がる色を取り入れたり、エストニアの人たちは衣食住全ての面で冬に向けた備えを欠かさず行います。ただし、憂鬱な冬支度のときでも、楽しむ姿勢を忘れないのがエストニアならではの文化です。