大阪府でも珍しい複合型施設の完成

　市民会館が完成したのは1964年9月29日。年々人口が増加し、当時あった公民館では手狭になってきたのと、教育や文化など行事で使える施設が少なく、気軽に利用できる場所をつくってほしいという市民の要望もあり建設がスタート。3億5000万円の工事費を投じ、敷地面積8932㎡、鉄骨鉄筋コンクリート造り4階建ての市民会館は、演劇、音楽、舞踊など舞台芸術に適した装置が完備された大ホールをはじめ、図書館や音楽室、工作室、講演会場を併設した複合型施設として完成した。この規模の施設は大阪府内でも珍しく、注目されたという。

市民に寄り添う場所として

子どもの頃から高槻市で暮らし、市民会館を利用してきた南部さん。「大きな市民会館ができたみたいよ、有名な歌手もくるらしいなど、何かと家族の間で話題にあがり、特別な場所という印象でした。あと、大ホール内にあった喫茶室のペプシコーラが辛かったことを今でも覚えています。私にとっては大人の世界を知る場所でもありました」と、思い出を話してくれた。

また、小学校4年生のとき、3階の図書室に通っていたそうで、「生徒が増えたことから4年生だけ、当時第一中学校の南側にまだ残っていた陸軍工兵隊兵舎を教室として学びました。そこから家までの帰り道ということもあって、よく通っていました。児童書をはじめ、能の入門書など、人生のなかで一番本を読んだんじゃないかと思います」。

7月31日（日）にはクロージングイベントを開催

さまざまな機会で市民会館と関わりのあった南部さん。1989年に職員として就職して以来、33年にわたってコンサートや古典芸能市民参加型の催しなど様々な企画を立案してきた。7月31日に行われたクロージングイベントも南部さんが企画。「大人も子どもも楽しめるイベントにしたいと思ったので、ピアニカの魔術師という音楽ユニットに出演を依頼。最後は大ホールロビーの壁に、来場者の皆さんに思い出のメッセージを書いてもらって、心あたたまるイベントとなりました」。