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-北摂- 各市でも取り組みが広がる「ふるさと納税」

2023.08.03

「ふるさと納税」は自分の選んだ自治体に寄付を行った場合に、寄付額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度だ。2008年に導入され、北摂各市も昨今では返礼品に様々な工夫がみられ、熱を帯びだした。一方で、手続きがよくわからない、などの理由で利用しない人もまだまだ多い。

利用者はまだ13%ほど

ふるさと納税は、人口が減少し税収が困難な地方自治体に対する財源の補填と、地域間の経済格差の緩和を図ることを目的として始まった。魅力あふれる特産品などの返礼品が受けられるとあって、この制度の利用者は年々増加をみせている。総務省「令和4年度ふるさと納税に関する現況調査結果」によれば、2022年度にふるさと納税を利用した人は740万人である。2008年の制度開始以来、多くの納税ポータルサイトができ、プロモーションをした影響もあり、年々利用者は増えている。しかし、納税義務者(所得割)5900万人の約12.5%に過ぎない。ふるさと納税による寄付を実施したいと思わない理由として挙げられるのが、控除の仕組みがわからない、寄付に関心がない、手続きが煩雑などである(ふるさと納税に関する調査2021、NTTコムリサーチより)。

「ふるさと納税」は、地方自治体に貢献するとともに、寄付者自身の税負担を軽減するというメリットがある。しかし、その運用には適切なルールとバランスが必要だ。地方自治体と寄付者が相互に理解と協力を深め、制度が本来の目的、すなわち地域振興を果たすためのツールとして機能することが求められている。

また、大都市圏の自治体ではふるさと納税で控除される所得税や住民税による税収減が課題となっている。北摂各市の場合においても寄付金控除の額が増加傾向にある。このような状況の中で、北摂各市も昨今では様々な地元産品を選び、また魅力ある返礼品づくりに取り組むことで、「ふるさと納税」の争奪戦に加わり始めた。本紙では各市の返礼品の一部を紹介する。

企業版ふるさと納税による寄付の募集も増加

『企業版ふるさと納税』とは、企業が自治体に寄付をすると税負担が軽減される制度。正式な名称は『地方創生応援税制』といい、自治体の実施する「まち・ひと・しごと創生寄付活用事業」(=以下「地域創生事業」)に企業が寄付をすると、寄付額の約3割が税額控除される仕組みだ。地方創生、人口減少克服といった国家的課題に対応するため、地方公共団体が行う一定の地方創生事業に対して企業が寄付を行うことにより、地域創生を活性化する狙いがあり、平成28年度に開始された。損金算入による軽減効果(寄付額の約3割)と税額控除(寄付額の最大6割)を合わせて、最大で寄付額の約9割が軽減されることになる。例えば、企業が1,000万円の寄付をすると実質負担額は約100万円になるということだ。市民会館の建て替えに伴う寄付を募集したりと、北摂各市でもこの取り組みは広がりをみせている。

 

■各市のふるさと納税の返礼品(一部抜粋)

万博記念公園特別利用券も吹田市の返礼品として登録されている。
【万博オールパスポートコース】1年間入園無料 寄付金額:11,000円

画像提供:大阪府

〈吹田市〉
国立循環器病研究センター循環器ドック【日帰りコース】 寄付金額:750,000円

〈豊中市〉
マチカネくんの災害時持ち出しリュック 寄付金額:20,000円

〈箕面市〉
箕面ビールのお好み12本セット 寄付金額:20,000円

〈池田市〉
清酒「呉春」特吟×1本 寄付金額:20,000円

 

高槻バーガーの食事券も高槻市の返礼品として登録されている。
高槻バーガー お食事券3,000円 寄付金額:10,000円

画像提供:T’s Star Diner

〈高槻市〉
高槻うどんギョーザふるさとギフト 2個入り10パック計20個 寄付金額:12,000円

〈茨木市〉
クアトロガッツが栃木レザーで職人がつくるミニ財布「小さいふ」。 寄付金額:36,000円

〈摂津市〉
摂津特産 鳥飼なす 5品セット 寄付額:15,000円

〈島本町〉
島本ジビエ「鹿肉」約600g 狩猟肉 シカ肉 スライス 寄付金額:10,000円

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