俳句コーナーVOL.53 入選作品を紹介!
2024.02.01
12月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
図鑑より出られぬけもの山眠る
和泉市 押見げばげば
動物図鑑の多くは、獣。もちろんそこからは抜け出て自由に動き回ることはできません。眠っている山のように静かに姿を見せているのが、図鑑の獣たちです。作者は、冬の山へこの獣たちを解き放ちたいのでしょうか。
【 入 選 】
鎌倉へ行く口実の実朝忌
豊中市 安藤 知明
鎌倉へ行く理由がない。ところが実朝の忌を修することが口実となりました。
藪柑子葉の三枚に実の一つ
茨木市 山﨑 登代子
ここまで見て、そして事実を描く。それだけで俳句という詩になるのです。
粉薬溶けゆく音の落葉かな
枚方市 菅井 香永
真に静かな音です。聞こえないかもしれません。それが葉の落ちる音です。
そばにいてまだときめくやシクラメン
豊中市 小倉 佳子
こんなときめきは忘れられないもの。シクラメンが印象鮮明です。
をちこちに音いろいろや十二月
茨木市 角島 健二
十二月は音があちこちにそして、いろいろと現れます。色もまた。
【 佳 作 】
うとうとと雲見て旅の日向ぼこ
高槻市 黒田 豊子
鉄砲の輪ゴム聖樹のトナカイへ
小諸市 藤 雪陽
行く年のシュークリームをはんぶんこ
豊中市 山上 秋葵
大ぶりの蜜柑の種の頼もしさ
熊本市 貴田 雄介
ポインセチア呼びたき人の多きこと
吹田市 秋山 寛
◆ つぶやき評 ◆
できることであれば、毎日歳時記を開いてください。そして、心持に合う季語とじっくり対面してください。解説を読み、例句をたどっていくと、その季語から新しい景が見えてきます。歳時記は俳句の玉手箱です。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)
1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』『礫』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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山口昭男先生の最新巻の紹介
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