さまざまな病気によって引き起こされる「不整脈」。血液の循環を司る心臓に異常が生じることで、時として命にかかわることもあり得る。ただ近年では医療技術の進歩によって、かつて治療が難しかった症例でも治る可能性が高まっているという。不整脈治療に約30年間従事し、先進的な治療法“カテーテルアブレーション”の国内における第一人者である高槻病院 副院長 不整脈内科の山城荒平医師に話を伺った。
心臓は電気信号によって収縮し、全身に血液を送っています。不整脈はこの信号に生じた何らかの異常で起こります。脈が速い、遅い、不規則など病態はさまざまで、実は「不整脈です」とだけ言われても、そこからわかる情報は少ないのです。治療を行う際は、どんな病気が原因で脈が乱れているのか知ることが重要です。
心臓は左右の心房、左右の心室の4つの部屋に分かれています。高齢になるほど増加するのが、上側の部屋である心房で痙攣が起こる「心房細動」です。下側の部屋で起こる「心室細動」とは違い、直ちに命にかかわる病気ではありませんが、痙攣した箇所にできた血の塊が脳へ到達することで「脳塞栓症(脳梗塞の一種)」を引き起こすおそれがあります。心房細動は遺伝的な要因も一部ありますが、大きく言えば生活習慣病の一種です。肥満、飲酒、高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群などは心房細動の合併率が高いため、生活習慣の改善が大切になります。