「股の間からピンポン玉のようなピンク色のものが出る」「股間に何か挟まっているように感じる」。そんな女性は、腟から子宮やぼうこう、直腸が出てくる骨盤臓器脱かもしれません。加齢により、臓器を支えるじん帯や腟の周りにある腟中隔という筋膜がゆるむことが原因で、閉経後の女性の約4割が罹患するといわれています。出産により腟中隔が傷つくことも一因と考えられ、最も早い方では30代で罹患する人も。
当院で提案する治療法のひとつは、腟内にリング状の器具「ペッサリー」を入れて臓器を支える方法です。外来で行えるため手軽ですが、定期的な受診が大切です。とくに、ペッサリーの物理的刺激による腟のただれや潰瘍(かいよう)を予防するために、半年のうち1ヶ月間程度の取り外しが必要です。もうひとつは手術で、メッシュ手術など方法はいくつかありますが、当院では腟の奥に隠れている丈夫な腟中隔を巻き出して縫い合わせることで、新しく頑丈な腟中隔に仕上げる独自の腟壁形成術を行っています。臓器の脱出の程度が重度の場合やペッサリーを取り外すとすぐに不快な症状が出るような方には、こちらが適しています。実績は570件以上で再発率が低く、メッシュのような異物を入れることがなく自身の組織で修復するので合併症、後遺症を抑えることができます。経腟手術でおなかに傷跡が残らず、体への負担が少ないのも特徴。手術自体は、全身麻酔で一時間半程度で終わり、術後の療養も含めて入院期間は一週間程度になります。退院後、新しく仕上げた腟中隔が安定するまでのしばらくの期間は、運動を控えめにしていただきますが、その後からは、以前にも増して活発に動いてもらえます。
高槻病院 産婦人科では、リスクの高い妊娠・出産の管理、良性腫瘍への腹腔鏡(内視鏡)手術、子宮や卵巣などのがん治療など様々な治療・手術を行ないますが、骨盤臓器脱手術の修復は患者様から最も喜ばれる手術のうちのひとつです。
「恥ずかしいから」と受診を我慢していると、日々の生活をイキイキ送れない、ということにもなりますので気になったら早めの受診をお勧めします。