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吾翔けるvol.25 -「物価高」と「鼠小僧」

物価が高騰している。宝くじの一つでも当たらないかと思うことも多い。さらに言えば、何処かから金が降って来ないかと──。

そのようなことをしてくれる者が主人公の時代劇がある。ご存知の方も多いだろう。鼠小僧である。武家屋敷に忍び込んで金品を盗み、貧しい人々に配る義賊である。さて、この鼠小僧だが実はモデルとなった盗賊がいるのだ。

今から約二百年前の天保三年五月、江戸は浜松町にある松平家の屋敷で一人の泥棒が捕まった。名は次郎吉。齢三十七。彼こそが鼠小僧のモデルである。

この時に捕縛されるまで、次郎吉が盗みに入った大名屋敷は実に九十八家。総額一万二千両。現在の貨幣価値に換算すると六、七億円にもなる。もっとも次郎吉も全てを記憶していなかったようで、実際にはそれ以上の盗みを働いたと思われる。