俳句コーナーVOL.65 入選作品を紹介!
2025.02.04
12月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
くさめして平和の国に戻りけり
刈谷市 山本とりこ
作者の願望が伝わってきます。くさめすることで風邪だと心配することは多いですが、平和が戻ってくるというのは、俳句でしか言えないことです。下五の「けり」には強い思いも感じられ、平和への希求が込められています。
【 入 選 】
かまくらへはいつてこんせ火の神も
豊中市 山上 秋葵
雪で作られているかまくらへ火の神を招く。方言がじんわりと響きます。
年送る重い扉にかける指
大阪市 宮本 隆邦
この一年のことを思い出しながら仕事場の重い扉を閉めます。さあ、新年。
ブランコは揺れたままです白鳥来
大阪市 平川 直子
今年もいつもの池に白鳥。使われていたブランコもその到来を喜んでいます。
湯冷めせぬままに貧乏揺すりかな
岩倉市 石川 順一
貧乏ゆすりはもう癖になっています。湯ざめせぬように気遣いながらも。
和菓子屋のかろき引き戸や実千両
横浜市 沼野大統領
老舗の和菓子屋の佇まいが見えてきます。引戸の軽さに実千両は似合います。
【 佳 作 】
座布団に陽の溜まりたる冬至かな
日野市 平井 都々
節榑の手に似合いたる冬田かな
茨木市 山﨑登代子
手まりつくてんてん跳ねてたちつてと
高槻市 黒田 豊子
我が下を水の流れる風邪心地
吹田市 白坂 悠人
淑気満つ無人のメリーゴーランド
豊中市 物部 知達
◆ つぶやき評 ◆
俳句は五七五の十七音字の詩です。日常的にはこの型で会話をすることはありません。そのため日常の会話で意識している説明ということを短い俳句に持ち込んでしまいがちです。詩には説明は不要。定型に馴染むことです。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)
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1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』『礫』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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山口昭男先生の最新巻の紹介
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