色彩豊かな世界を描くパラアーティストMUSASHI 大阪・関西万博で個展開催へ
2025.03.03
自由な表現で感情を揺さぶるアート
パラアーティストとして活動するMUSASHIさんは、見る人の心に多彩な感情を呼び起こす作品を生み出し続けている。彼のこれまでの活動は、セレッソ大阪や大阪府警との防犯ポスター制作や外車ディーラー、ABCテレビ公式youtubeチャンネル「虎バン」の公式グッズTシャツとのコラボ展示など多岐にわたる。若干21歳の青年が描き出す色鮮やかな世界は今なお拡大中。大阪・関西万博でも出展予定だ。
画用紙とテープから始まった創作
MUSASHIさんの記憶にある一番古い創作活動は、彼が小学1年生のころ。「画用紙にプラモデルのパーツを描いて、透明なテープで張り合わせて立体作品にしていました」と当時を振り返る。父は大工、母は福祉の仕事のかたわら絵を描くという環境で育ち、早くから創作の楽しさに目覚めた。6年生になる頃には、好きなゲームに登場するドラゴンの模型を制作。「指先から尻尾まで細かい部分にもこだわって、派手な感じにデザインしました」と話す。中学生になると、人気アーティスト・米津玄師のCDジャケットに影響を受け、モノクロの絵を描き始める。そして両親の勧めで絵画教室に通うようになり、色彩豊かな表現へと世界を広げていった。
「悩む時間」が最大の楽しみ
全日本こども美術大賞展での大賞や二科展入選など受賞歴も着実に重ね、高校を卒業したMUSASHIさんは、福祉事業を手がける企業の石富プロパティー(寝屋川市)と出会う。母親の仕事を通じた縁だった。当初、本人は就労移行支援を経て就職する将来を考えていたが、同社の手厚いマネジメントを受けてアーティストとして歩み始めることになる。
「画材の個性を大切にしています」とMUSASHIさん。アクリル絵の具やマーカーなど、異なる画材の組み合わせで生まれる相乗効果を追求する。絵の具が滴って偶然生まれる模様など、計算できない要素も作品に取り入れている。インスピレーションが生まれる瞬間は、音楽やゲーム、YouTubeやSNSを見ているときなどさまざま。動物園で観察中に湧くこともあるのだとか。目に映るもの全てが創作活動の源泉になる。
創作の過程で最も楽しいのは、実は「悩んでいる時間」だという。「こんなふうにしたらかっこいいかな、かわいいかな、って考えているときが一番楽しい」と、微笑みながら話す。

作業スペースに貼られた下書きやアイデアの数々。
心躍らせる、新たな挑戦
尊敬する芸術家に、岡本太郎の名を挙げる。「めちゃめちゃ上手いってだけで終わらせてない。みんなを巻き込むような力強さがかっこいい」と、その理由を語る。「作品を見た人が『この色キレイ』とか『なんか不思議』とか、『ようわからんけど、すごいな』って、いろんな感情を起こす感じ」。憧れを抱く人物の表現力は、自身の作風にも影響を与えている。
そんな彼が、大阪・関西万博で新たな挑戦を行う。600平米の広大なギャラリーWESTで、個展や企画展を2日間(7月9~10日)にわたり開催する予定だ。これまでの作品の展示や企業団体と連携した企画展示を進めている一方で、全国の障がい福祉施設や子ども食堂、幼稚園などとコラボし、参加者たちの作品を1つのアートとして再構成するという。「初めてのチャレンジなので難しいですけど、見通しがつかない分、ワクワクします」。

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