パエリアの世界大会で世界第3位を獲得した職人が想い描く、さらなる挑戦
2025.05.07
現地の大会で、大きな鍋に牡蠣を使ったパエリアを仕上げた檜尾さん。
スペインのバレンシアで、昨年9月に行われた「World Paella DayCup
2024」で、高槻市内にある「Spanish bar & cafe NEUTRAL」に勤めるパエリア職人の檜尾(ひのきお)信吾さんが世界第3位を獲得した。30歳から入った料理の道で、〝何かのスペシャリストになりたい〟と、目標を立てて、歩んできた想いを聞いた。
料理人としての『軸』となるもの
古民家が残る高槻市城北町の一画に、『Spanish bar & cafe NEUTRAL』はある。現在41歳の檜尾さんが、料理の世界に入ったのは30歳を過ぎた頃。サッカー好きで、もともとスペインに憧れがあったことから、友人との食事に大阪市内のスペインバルを選び、そこで初めてパエリアを食べたという。「おいしさに感動して、自分もパエリアを作りたいと思い、そのお店で働かせてもらうことになりました」。
スペインバルで約5年ほど修業したのち、NEUTRALのオーナーと出会い、同店でシェフという立場で働き始める。「ちょうど、2020年のコロナ禍で、これから料理人として歩む上で、自分の中の『軸』となるものがほしいと考え、好きなパエリアを極めるために、世界大会を目指そうと思いました」。
地産地消にこだわったおいしさを
そこから檜尾さんは、2022年国際パエリアコンクールに挑戦し、日本代表選考会準優勝など実績をあげてきた。
そして昨年の9月20日にスペインのバレンシアで実施された、 「World Paella DayCup2024」に日本代表として出場。「この大会には、世界27カ国44名がエントリーしていました。パエリアに関する活動経歴や意気込みなどを動画にしたビデオ審査やWeb投票での一次審査を経て、決勝大会に進む12名に残ることができました」と檜尾さん。
決勝大会は2回に分けて行われ、1回戦は6組に分かれて、1対1で競い合う形に。テーマとして各国のオリジナリティを出すことが求められていたため、檜尾さんは牡蠣をメインに和の食材をふんだんに使ったパエリアで勝ち抜いた。進んだ決勝では、檜尾さんにとって思い入れのある、パエリアの元祖「バレンシア風パエリア」に鶏肉をつかった照り焼き風味の「和風バレンシア―ナ」を作った結果、見事世界第3位に輝いた。
そんな檜尾さんのパエリアはランチから味わうことができる。「お米は今は違う産地になっていますが、基本的に高槻産のお米を使い、三箇牧トマトをたっぷり使って地産地消にもこだわって作っています」。これまでにも、子ども食堂でパエリアの無償提供や、能登半島復興支援の一環としてパエリアの炊き出しを行うなどチャリティー活動にも力を入れている檜尾さん。世界一を目指して、これからも挑戦を続ける。
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