
60代後半から二次ピークを迎える「乳がん」 早期発見に繋がる”痛くない検診“とは/彩都友紘会病院
女性の9人に1人がかかると言われ、高齢者の罹患者も珍しくない「乳がん」。早期の発見・治療のためにも、まずは検診を受けることが重要です。がん治療に重点を置く彩都友紘会病院の中村仁信病院長に話を聞きました。
乳がん罹患率の一次ピークは、40代後半〜50代前半に迎えますが、60代後半から二次ピークを迎えることは、意外と知られていません。乳がんの発生には、女性ホルモンであるエストロゲンが深く関わっています。閉経前後は女性ホルモンに影響が出やすい時期ですが、出産の高齢化や飲酒量なども関連していると言われています。また、乳がんは取り除いても数年後に再発や転移をする可能性がありますので注意が必要です。


乳がん検診の基本は、問診と乳房X線検査(マンモグラフィー)ですが、マンモグラフィーは乳房を強く圧迫するため、痛みを感じる人が多くいます。当院では、MRIを使った「無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)」という乳がん検査を導入しています。長所は、乳房を圧迫することなく着衣のままで検査できることです。また、マンモグラフィーとは異なり死角がなく、がんが見つかりにくい高濃度乳房(脂肪に比べ乳腺の割合が多い状態)に対しても有効です。これらの長所により、マンモグラフィーと比較して乳がんの発見率も高いことから、ドゥイブス・サーチが広く普及することを目指しています。
当院では乳がんを含め、多くのがん治療に取り組んでいます。がん細胞が熱に弱いという性質を利用した「がん温熱治療(ハイパーサーミア)」も行うことができ、化学療法や放射線治療などと併用することで効果が期待できると考えています。重篤な副作用がなく、再発がんや転移性のがんにも適応できますので、患者様のがんの状態を見ながら提案させていただくことがあります。早期発見・早期治療に取り組むことができれば、多くの選択肢を提案できますので、いくつになっても欠かさずがん検診を受けましょう。
