-摂津市- 町工場×謎解きイベント 異色の組み合わせで地域活性を目指す
2025.08.11

有限会社ワコーメタル 営業部長 日野南欧輝(ひのなおき)さん
板金や製缶、機械加工などを手掛ける有限会社ワコーメタル。長年、製造業を主軸としてきた同社が、2023年10月から地域の子どもたちを対象に、参加費無料の謎解きイベントをスタートさせた。なぜ、製造業とは異なる事業を立ち上げたのか、イベント企画を担当する日野南欧輝(ひのなおき)さんに話を聞いた。
元々はイベント企画の仕事に携わっており「考えることの楽しさ」を追求していた日野さん。しかし、将来への懸念から、祖父の代から続く家業のワコーメタルへ転職を決める。入社後は営業担当として働く中で、職場環境に疑問を持つようになる。「特定の人や企業と関わることがほとんどなので、意見交換も少なく、新しいアイデアが生まれにくい環境だと感じました」と語る。
そこで、社内外で新たな交流を生み出すことを目的に、前職の経験を生かしてイベントを社内で企画できないかと提案。2代目の社長であり、父の和好さんをはじめ、反対意見もあったが、「試しに1回なら」となんとか承諾を得た。ストーリーは日野さんが考え、準備は社内のスタッフにも手伝ってもらいながら、2023年10月に自社の工場でイベントを実施。ハロウィンをテーマに仮装や輪投げなどのゲームをしてお菓子を集めるという内容で、参加費は無料。近隣に住む親子を中心に約70人が参加した。「多くの人に楽しんでもらえて、手ごたえを感じました」と日野さん。社内のスタッフからも「社内のコミュニケーションが活発になった」、「地域の人と関わりがもてた」など、好評だったそう。
初回のイベントが好評だったことから、和好さんもその価値を認め、日野さんはイベント企画を行う「カマンベールチーム」を立ち上げた。初開催から8か月後には、新鳥飼公民館で「魔法学校の卒業試験」をテーマに謎解きイベントを企画。現在も2ヵ月に一度のペースで開催しており、「1年後の12月には別府コミュニティセンターにて追手門学院大学とコラボしてクリスマスのイベントを。さらに2ヶ月後の2月に摂津市立コミュニティプラザで実施しました。この2つがイベント拡大のターニングポイントになりました」と日野さんは話す。
イベントの評判は広まり、摂津市内の小学校のPTAや、企業などからもオファーが舞い込むように。さらに、追手門学院大学と産学連携で製造業の魅力を発信する取り組みが始まったり、TV取材の依頼がきたり、広がりをみせている。
イベントの注目度は回を重ねるごとに高まり、参加者の期待も大きくなっていく。しかし、日野さんは無料での開催にこだわりをみせる。「謎解きイベントを通して地元に貢献したいという思いがあります。だから無料にこだわって、子ども中心の企画にしています」と話す。イベントが会社の売り上げに直結する訳ではないとしながらも、「会社の雰囲気もよくなったし、刺激になっていると思います。地元の魅力を再発見する機会、親子の思い出づくりに役立ってくれたら嬉しいです」。
10月26日(日)には、別府コミュニティセンターでお化け屋敷と謎解きをかけ合わせたイベントを計画中。「新しい展開を見せられたら」と意気込む日野さん。詳細はワコーメタルのWEBやSNSで公開予定。

過去のイベントの様子
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