-茨木市- 福祉文化会館を舞台に展覧会「ライフライン」を開催
2025.09.10
3階の会議室の写真を使用した本展のチラシ。
昭和レトロな雰囲気を残す建物の魅力も作品とともに楽しみたい。
9月12日(金)〜10月5日(日)に、茨木市福祉文化会館(オークシアター)で開催される展覧会「ライフライン」。来年度以降には解体が予定されている同館の5階から地下2階までの7フロアをつかった様々な現代アートの表現が楽しめる、興味深い内容になりそうだ。
茨木の芸術振興を支えた館に華々しいフィナーレの場を
昭和56年(1981年)に開館した福祉文化会館は、市民会館の隣に位置し、長年にわたって多目的に利用されてきたが、耐震性の課題から貸館業務は昨年5月末で停止されている。
そんな同館で開催される、現代アートの展覧会「ライフライン」は、全7フロア(地上5階、地下2階)を使い、建物自体も主役となる大規模な展覧会だ。同展を運営する茨木市文化振興財団の田中勇輝さんはこの福祉文化会館に熱い想いを持つ。

文化振興財団の田中さん。1Fロビーには木村光佑氏の壁画が並ぶ。
「5階文化ホールでは芸術振興を、4階は社会福祉協議会やボランティアセンター、3階は華やかな雰囲気の会議室、2階と1階は水道部の事務室という多機能な複合施設でした。福祉や芸術や水道という暮らしに不可欠な役割を担ってきましたが、老朽化により来年度以降に解体される予定です。最後に建物ごと、みなさんに楽しんでいただける展覧会にしたいと思っています」と話す。
建物も上手く使いながら表現する美術家たちの作品
企画は国立国際美術館の福元崇志さんが担い、さまざまな機能を持ち合わせていた同館を象徴するような内容になるという。テーマの根幹となるのは「一本の線」。表現されるのは、ただ繋げたり分けたりと、白黒をはっきりつけることではなく、むしろ繋げつつ分け、分けつつ繋ぐという状態で、同展覧会では主に関西を拠点に活動する美術家たちの、仕切っては仕切りなおすいくつかの実践に光を当ててみるという。

今後、解体されるということで、以前のイベントで部屋全体を作品にした中屋敷智生さんも継続参加。
作品は絵画、彫刻、素描、映像、インスタレーションと様々だが、“曖昧な中間領域にアプローチする”という姿勢が共有された内容になる。「何かと何かを繋ぐ“一本の線”同士が、複雑に絡み合い、もつれあうなかで大きなネットワークを形成し、やがて私たちの生活を下支えするライフラインとなる、というのがテーマです。施設が担ってきた役割をもとに福元さんがコンセプトをたて、そのコンセプトにあう作家を集めてくださったので、訪れた方が施設と作家の仕事を交互に鑑賞しながら、いろんなことに想いを馳せる時間になればと思っています」と田中さん。

5階の文化ホールの舞台裏にある丸い窓。普段は入ることのできなかった場所も展示空間として利用される予定。
【会期(日時)・場所】
9月12日(金)~10月5日(日)
12時〜19時 入場無料
茨木市福祉文化会館(大阪府茨木市駅前4丁目7-55)
※9/16(火)、17(水)、24(水)、29(月)、30(火)、10/1(水)は休館

5つの丸い窓が目印の福祉文化会館。この機会に作品を楽しみながら、時代を感じさせる館内をめぐることもできる。
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