おうち花見で気分を上げたい時や、おもてなしにオススメなのが、重箱を使ったコーディネート。
「老舗の和菓子店では、お得意様に生菓子をお届けする際に“お通い箱”と呼ばれる重箱に入れていたこともあり、お重と和菓子はとても相性がいいんです。おうち花見では、異なるお店のお菓子を詰め合わせて、自分なりのアレンジを楽しみましょう。お重の色や形はどんなものでも構いません」。


定番のおはぎだけでなく、こし餡を使った蒸しカステラの“浮島”や、シャリシャリとした寒天氷に大粒の大納言小豆を閉じ込めた琥珀糖など、軽さや透明感のあるものを選ぶと、より春らしい雰囲気に仕上げることができるという。

小さなお子さまのいる家族なら、重詰めを一緒にするのも楽しそう。「お重いっぱいに詰める場合は、おせちの詰め方同様、田の字や市松、段詰めを意識して配置するときれいに見えますよ」（写真左上）。

料理と相性の良いドリンクを組み合わせる、ペアリングにもチャンレンジしたい。

「日本酒のお米の甘みと、小豆の旨み。組み合わせ的には“ほぼ、おはぎ”じゃないですか（笑）。そもそも春は日本酒の美味しい季節なので、旬の和菓子と合わないはずがないんです。果実酒系なら酸味や香りの相性を大切に。しゅわしゅわとしたソーダ割りも合いますよ」。


「こし餡ベースの蒸しカステラ”浮島”と、餡に卵黄を混ぜてホロリと仕上げた”黄身しぐれ”の上に羊羹や練切をあしらった、あんこ尽くしの創作菓子には、抹茶や桜フレーバーと相性の良い柚子酒を合わせたいですね」（写真左）。


「特選大納言小豆の上品な甘みとシャリシャリとした寒天の口どけが特徴の”大納言清澄”には、薫り高くフルーティな純米酒を」（写真左下）。

かがたにさんのあんこコラム
「粒餡とこし餡の間には…」
　あんこ好きというと、粒餡派かこし餡派かという論争が起こることもしばしば…。
しかし、あんこの種類はもっと繊細なのです。大きく分けると粒orこし、というのは間違いないのですが、粒餡は豆の粒をほとんど潰さずに煮上げたものを指します。一方、豆の皮を破って潰しながら練り上げた餡は“潰し餡”といいます。普段、私たちが粒餡だと思っているものは実は潰し餡であることが多いのです。
また、粒を潰さずに煮たものはポロポロとこぼれてしまうので、こし餡を加えてまとまりを良くすることもあります。真・粒餡から潰し餡、そして、こし餡に至るまでには無限の「あんこグラデーション」があるといっても過言ではありません。
自分の好みの餡がどのあたりに位置するのかわかると、お菓子選びがさらに楽しくなると思います。