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地価調査からみる北摂の地価動向

2020.11.02

9月29日、国交省が「令和2年都道府県地価調査」の結果を公表した。今年は、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の影響が表れる結果となった。

そこで豊中、吹田、摂津の地価調査を担当した不動産鑑定士の1人、中村光伸さんに北摂の地価動向について話を聞いた。

 

- 北摂などの地価は微増 上昇率トップ10に吹田市などがランクイン

 

地価調査によると、府内の住宅地の平均価格は昨年7月1日からの1年間で-0.3%と7年ぶりに下落、商業地は+1.8%と8年連続の上昇となった。

大阪市、堺市、北摂を中心とした利便性に優れる住宅地は、縮小気味ながら引き続き地価は上昇、府内の住宅地の上昇率トップ10には、吹田市、茨木市など北摂が4地点ランクインした(表)。

大阪府HP「令和2年大阪府基準地価調査(地価調査)の結果について」より

府内の商業地で最高価格を示したのは「グランフロント大阪南館」に設定された地点(北区大深町)で、価格は2,360万円/㎡、変動率は+8.8%となった。2位は戎橋付近に設定された地点(中央区宗右衛門町)で、価格は2,330万円/㎡、変動率は-4.5%となり、2018年以降では初めて、北の商業地が南の商業地の価格を上回る結果となった。

コロナの影響によるインバウンド需要の減少が、外国人観光客向けのホテルやドラッグストアなどが建ち並ぶ南の商業地において、より大きく影響したものとみられる。

 

-本当に地価は上昇している?

 

以上の結果によると、コロナの影響があるものの、一部の住宅地や商業地では、縮小気味ではあるが、依然として地価は上昇、変動率はプラスとなった。

しかし、中村さんによると地価動向の実態を把握するためには、少なくとも半年ごとの価格推移を追う必要がある。それにより、今回の結果で変動率がプラスとなった地点でも、実際にはすでに価格の下落が始まっていることが明らかになる。

例えば、先に挙げた北区大深町の半年ごとの価格推移は次の通り(グラフ)。

今年1月→7月で、5.6%下落している
(国交省「標準地・基準地検索システム」のデータをもとに作成)

北区大深町の今年1月の価格は2,500万円/㎡となっており、今年7月時点(2,360万円/㎡)で、すでに5.6%下落していることが分かる。

先に示した同地点の変動率+8.8%は、あくまでも昨年7月の価格(2,170万円/㎡)との比較によるものに過ぎず、実際には価格はすでに下落を始めている。

同様の地価動向は、府全体でみられると考えられる。したがって、北摂エリアの住宅地や商業地において、今回の地価調査結果で、価格が上昇、変動率がプラスとなった地点でも、半年前との比較では価格は下落し始めている地点もある可能性が高い。

ここ数年、地価は金融緩和政策などにより上昇傾向にあったが、コロナの影響により不動産市場が停滞、現在は下落傾向へと転換している。国交省では「地価LOOKレポート」をウェブサイトで公表しており、3ヵ月ごとの地価動向も確認できる。

中村さんは「今は地価の転換期。今回の地価調査結果については特に、少なくとも半年前の価格を意識しながら慎重に検討を」と話している。

ひびき不動産鑑定株式会社 
不動産鑑定士 中村光伸さん

 

 

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