暮らしの楽しみと出会う店「乾物屋スモール」
2020.11.05
茨木市千提寺へ
阪急京都線茨木市駅からバスで約40分。市街を抜けて、山を登り「千提寺口」で下車、さらに10分ほど歩くと「乾物屋スモール」が見える。
赤い看板が目印
乾物屋スモールは、主に豆や米などの乾物を量り売りする店で、店主・内田まど佳さんが2016年に高槻でオープン。今年10月に、古い民家を改装したこの場所に移店した。
静かな店内に入ると、縁側から差し込む陽射しの中に、ガラス瓶に入った赤や黄など色とりどりの豆が並ぶ。
赤、緑、黄の大豆を打ってつぶした「福は打豆」。打つことで火が入りやすくなり、水から火にかけて約15分で柔らかくなる
店には、たかきび(2.8円/g)、精麦した丸麦「若宮麦子」(2円/g)、蒸して潰した大豆「打豆」(3.3~3.7円/g)など、雑穀や豆が約15種類揃う。ほかにも、細く切った昆布を乾燥させた「千切りビストロ昆布」(120円/枚)などの乾物や、丁寧に作られた調味料などを扱っている。
豆や雑穀はどれも1グラムから購入できる。商品の横には、生産者によるレシピ紹介も。
千切りビストロ昆布は、細く切ってパスタやナムルに入れるとおいしいとか
顔の見える関係を
スモールで扱う商品の多くは、内田さんが生産者から直接買い付けたものだ。
小豆島で醤油の蔵を巡ったり、小さな農家を訪ねたり、これまで多くの魅力的な生産者との出会いがあった。
「商品の先に生産者さんがいる」と内田さん。内田さんにとって、店は「商品を通して生産者さんを紹介する」場だ。
お客さんが商品や生産者のファンになり、日常的に使うようになったと聞くのが嬉しいのだそう。
きなこ(324円)や、カンホアの塩(76円/100g)、本葛(691円)など
内田さんは、生産者と顔の見える関係を作ることで、生産者、販売者、客がフェアでいられることを願う。
「異常気象などで、米や豆など農作物の収穫量はどうしても不安定になってしまう。環境問題は、生産者さんだけではなく、みんなの課題だから一緒に考えていきたい」と話す。
「暮らしのたねまき」ができれば
店を通して「暮らしのたねまきがしたい」と話す内田さん。「忙しいと、掃除とか買い物とか、“暮らすこと”がどうでもよくなってしまう。でも暮らしってもっと楽しめると思う。
例えば豆だったら、ゆでる楽しさがあって、それは使う楽しさになる。そういうことが暮らしの楽しみになっていく。
内田さんと看板猫のむぎちゃん
楽しみの芽を育てていくのはお客さんだから、私はそのきっかけづくりができれば」。
これから
今年10月で、店はオープンから4年を迎えた。
今後について、内田さんは「店はお客さんが作ってくれると思っているので、どんな店になるか私も楽しみ。私も、畑で採れたもので、総菜やおやつを作ったり、新しいことにチャレンジしていきたい」と話している。
<店舗情報>
乾物屋スモール
〒568-0098 大阪府茨木市千提寺272-1 (10:00-17:00)
月・火定休
TEL 090-2066-1875
E-Mail kanbutusmall@gmail.com
アクセス JR茨木駅または阪急京都線茨木市駅から、阪急バスで約40分、「千堤寺口」下車
メール、電話、ファックスで商品の郵送可能
11月半ばより、移動販売も始める予定(詳細は店舗HPで)
記事内の情報は取材当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。