地域情報紙「City Life」が発信する地域密着のニュースサイト
地域から選ぶ
ジャンルから選ぶ
PICK UP
TOP > 入居者さんのお母さん代わり。「グループホームの世話人」というお仕事 > 入居者さんのお母さん代わり。「グループホームの世話人」というお仕事
知的障がい・精神障がいを持つ方向けのグループホーム(共同生活)で働く「世話人」という仕事がある。豊中市内で9箇所のグループホームを運営する、あん株式会社の「さくら庵」では、専門的な知識や経験が無くても始めることができ、シフトなどの要望も可能な限り聞き入れてくれる働きやすさが魅力だ。実際に働いている方々に仕事の内容ややりがいを聞いた。
豊中市中桜塚にある「さくら庵・菜の花邸」は、20代前半から50代の6人の女性が共同生活を行なっているグループホーム。世話人とは、ここに入居する方々のお世話をする仕事だ。 障がいをお持ちの方と接するのは大変なのでは?と思われがちだが、さくら庵の入居者さんは基本的に共同生活ができる方で、作業所や会社勤めもされているので、少し苦手なことやできにくいことをお手伝い(サポート)するというイメージだ。まったくの未経験者でも先輩の世話人や本部の方がフォローしてくれるのですぐに馴染むことができるという。
実際に世話人として働く渡部さんにお話を聞いた。「勤務時間はフルタイムで働く場合は15時〜翌日10時です。15時に来てまずは夕食の準備をしながら、合間に入居者さんが作業所から帰ってくるバス停までお迎えに行ったりします。帰って来られた順にお風呂に入っていただき、17時30分頃から随時、夕食の時間となります。材料は系列の作業所である『ばなな庵』から人数分届くほか、レシピもあるので献立に悩むこともありません」。ほかに大切な仕事は薬の管理で、一人ひとりに手渡して、きちんと飲んだことを確認するという作業がある。 「ここは若い入居者さんが多いので、作業所や会社から帰ってきたら今日の出来事や好きなアイドルの話で盛り上がることも(笑)。夕食が終われば、みなさんはご自身のお部屋で過ごすので、見廻りの時間に各部屋の様子を確認したら私たちも仮眠します」。
颯爽と家事をこなす小林さんは、なんと85歳。「10年前からこちらで働いていますが、普段家でやっていることが仕事になることに魅力を感じました」。特に食事づくりが得意だという小林さん。「私が作ったごはんをおいしそうに食べてくれる入居者さんを見るとやりがいを感じますね。誰かに必要とされていると実感できることが元気で居られる秘訣だと思います」。 やさしい雰囲気の小林さんは入居者さんたちからの信頼も厚く、「〝今日は小林さん居ないの?〟と聞かれることもありますよ」と渡部さんは笑う。まさに入居者さんたちのお母さん的存在となっている。
朝の仕事の流れは、起床が6時で朝食の準備をしながら洗濯機を回したり、テーブルを拭いたりする。入居者さんが朝食を終えて、作業所や会社に出勤すれば、食事の後片づけや掃除機をかけたり、洗濯物を干すなどの家事をこなすという。まさに、家族のために家事をしているお母さんのような仕事。働いている人の平均年齢も57.8歳なので、子育てを終えた人が多いのも特徴的だ。 「入居者さんの対応に困った時は、対応方法のマニュアルがあるので参考にしたり、勉強会で方法を学んだり、本部に相談してアドバイスをもらったりします」と渡部さん。 さくら庵は女性専用、男性専用と分かれており、同性をお世話するので、安心して働けるのも魅力のひとつ。またずっと同じ施設での勤務というわけではなく、都合にあわせて選択することも可能だ。
働いている人の中には、子育て世代の人もいるため、働きやすいように 15時〜20時、20時〜翌日7時、7時〜10時の勤務が可能となっている。 就業中の食事代は無料で、都合を聞いてから2週間に1回シフトを作成するため、自分の予定を優先することができる。ダブルワークもOKなので、今のお仕事にプラスして少し働いてみたいという方も大歓迎とのこと。 そして「85歳の私から見れば70代、60代、50代の皆さんはまだまだ若い。やってみたいという気持ちがあれば充分で、年齢を気にする必要はありません。一緒にがんばりましょう!!」と小林さん。 学歴不問で無資格の方も歓迎、また経験者でブランクがある方もOKなので興味を持った方は、まずは気軽に問い合わせてみてほしい。