エストニアは人口約133万人の小さな国ですが、実はIT大国なのをご存知でしょうか？例えば、多くの行政手続きがオンライン申請に対応している「電子国家」として有名です。そんなお国柄だけに、コロナ禍の前から当然のようにリモートワークが普及していました。自宅での仕事はリビングでする人も多く、日本と同じように時々Web会議にお子さんが映り込む光景も見られます。

　エストニアの人たちはITを活用しながら勤勉に働く人が多いですが、一方で「しっかり休む」メリハリが効いた暮らしを送るのも上手です。ヨーロッパらしく1カ月間のバカンスを取るのは当たり前ですが、大切にしているのが日々の暮らしの中でしっかり休むこと。中でも彼らがこだわるのは、家族みんなが長い時間を過ごす「リビングの住環境」です。一番落ち着ける場所で快適に過ごすために、グリーンの配置や家具の導線にもこだわります。家具やインテリアは、ミニマルでありながら機能面とデザイン性を両立させた「シンプルイズベスト」なものが好まれています。

　もう一つ、エストニアの住まいづくりで特徴的なのは、「教育熱心」な姿勢です。子どもの教育に熱心なのは日本も同じですが、少し違うのは「独立精神」を大切にしている点です。エストニアでは小さいころから子ども部屋を与えられるのが一般的で、ベビーベッドを子ども部屋に置く家庭も珍しくありません。

　一方で、お子さんがリビングで勉強する姿をよく見かけるのもおもしろいところ。一人で集中できる環境、わからないことを両親たちに聞ける環境、それらを自分で考えて選ぶことがとても大切なんです。家は子どもの独立精神を養う場でもあって、住まいづくりにもそうした姿勢が反映されています。

　そんなエストニア流の住まいづくり。サウナへの情熱は少々真似しにくいかもしれませんが、「自分や家族が過ごしやすい環境」を真剣に考える彼らの姿勢は、豊かなライフスタイルを実現するために、私たちも大いに参考にできるでしょう。

記事制作日：2022年7月