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今年1月、時代小説『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞した作家の今村翔吾さん。その受賞会見で「今年中に47都道府県にお礼に回りたい」と語り、現在「今村翔吾のまつり旅」と題して、119日をかけて全国をお礼行脚中だ。
訪れるのは約300箇所の書店や学校、社会福祉施設など。1日に3~5ヵ所をめぐり、ボランティアでサイン会や講演会を行う。 5月30日に滋賀県を出発し7月31日までで、訪れた都府県は27、訪問数は188ヵ所、出会った人の数は8,302人、サイン本の作成数は4,738冊にのぼる。 本業では7本の連載を抱え、移動中も机を取り付けたワゴン車で執筆する。 7月15日には箕面市のメイプルホールで257人のファンを前に講演会とサイン会を行なった。
箕面市との縁 「帰ってきました、と言ってもいいのかな(笑)。箕面市はすでに帰ってきた気持ちになる場所になりつつあります」。 今村さんの第一声に、会場からは大きな拍手が沸き起こった。 今村さんは昨年11月、廃業が危ぶまれた箕面市の書店「きのしたブックセンター」の事業を継承。 執筆活動を続けながら書店経営を行なってきた。
事業承継をきっかけに、今年2月には、市民の読書振興などに寄与したことで箕面市から「箕面本屋大使」に任命。 これまで「関西で箕面市だけ足を踏み入れたことがなかった」そうで、経営を引き継いだ書店が箕面市だったのは偶然と言うが、 「何かがとっておいてくれた場所なのかな。偶然というのが縁だと思う」と話す。
「翔吾くんも夢をあきらめてるくせに」 ダンスインストラクターだった今村さんを作家へと駆り立てたのは、当時の教え子の一言だった。 「その子に『夢をあきらめるなよ』って言ったんですよ。そしたらボソッと『翔吾くんも夢をあきらめてるくせに』って言われて」。 この一言をきっかけに、一念発起し、小説を書き始めた。 当時、30歳。この時点でまだ一作も小説を書いたことがなかったという。
「それから嘘じゃなく睡眠2時間半とかでいったんですよ(笑)。長期戦は向かないと思ったし、子どもたちに早く結果をみせてやりたいっていう気持ちで」。 そして2年半後の2017年、江戸時代の火消しの活躍を描いた時代小説『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。 以来、2018年に『童の神』が、2020年に『じんかん』が直木賞にノミネートされ、2022年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。 今、もっとも注目される歴史小説家の一人となった。
夢は叶うと伝えたい 「人生の転機となる瞬間というのが、誰の人生にも1回や2回はあると思う。 準備が整っていようがいまいが、今しかないという瞬間がやってくる」と話し、 「僕は、子どもたちに夢を思い出させてもらって、小説家になりました。 だから今度は、僕が子どもたちに夢は叶うと伝えたい」とまつり旅への思いを語った。
サイン会でファンと交流 講演会後のサイン会では、会場で抽選に当たった23人と、事前に市内の書店で今村さんの作品を購入し参加権を得た11人のファンと交流。 能勢町からご主人と参加したという女性は「チャンスを掴むべきときに掴まなきゃいけないという先生の言葉に励まされた。今後も先生の作品が楽しみでしかたない。私にとってアイドルです」と笑顔で話した。 市立西南小4年生の男の子は、ニュースで今村さんを知り参加。「すごい人にサインをもらえて言葉がでない」とうれしそうに話した。「経験を積み重ねれば、どんな夢でも叶うという言葉が心に残った。これなら自分もできると思った」そう。
まつり旅は後半戦へ 5月30日、滋賀県から出発したまつり旅。後半戦は中部・関東地方からスタートする。 その後、8月13日、14日には「グランフロント大阪」(大阪市北区)で開催される「大阪・お城フェス2022」でトークショーを行う。 旅のラストは9月24日。デビュー作『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』の舞台である山形県新庄市を目指す。 今村さんは「前半楽しく回らせてもらいました。残り54日、後半戦もがんばってきます。応援よろしくお願いします」と話している。