
相続の手続きは複雑だからこそ「終活」が大切 親身な姿勢で寄り添う行政書士
誰しも訪れる人生最期の瞬間。そのときに家族が向き合わねばならないのが「相続」の問題だ。とはいえ、その手続きは複雑で、何から手を付けていいのかわからない人も多いだろう。行政書士の西野剛志さんは、「生前から準備しておくこと…つまり、『終活』が大切です」と話す。
行政書士とは、市役所などの官公署に提出する書類の作成や許認可の申請などを行う、私たちの暮らしに関わる街の法律家だ。中でも、西野さんは「相続」分野のエキスパートで、相続人の調査や相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、さらには遺言書のサポートなど、幅広い業務に携わっている。「遺族からすると、人生の中で一番悲しい思いをしているときに行政書士の仕事が始まります」と西野さん。だからこそ、親身になって向き合うことを信条としている。「相続の事例は100人いれば100通り。同じパターンはまずありません。個々の事情に寄り添った提案をすることが大切です」。


相続の手続きは非常に複雑で、何をすればいいのか困ってしまう人は多い。西野さんは「そんな苦労をできるだけ軽減したい」と真剣な面持ちで語る。そう考えるようになったのは、前職の会社員時代に身内の不幸と遭遇した経験にある。「私自身が相続の手続きを行う中で、わかりにくい法律用語や複雑な手続きに直面して大変な思いをしました。その苦労がきっかけで、行政書士として相続に関するサポートをしたいと考えるようになりました」。そこから西野さんは一念発起し、長年勤めた食品会社を退職。司法書士事務所、行政書士事務所で実務経験を積みながら、猛勉強の末、行政書士の資格試験に見事合格。令和元年の5月に晴れて独立開業を果たした。
行政書士がサポートできる事前準備の一つに、遺言書の作成がある。「遺言書はまだ早い」「なんだか難しそう」と思う人に向け、西野さんがおすすめしているのがエンディングノートだ。遺言書と違い、法的な効果はないが、自分の想いを残す目的として使うことができる。「家族葬がいいとか、海に散骨してほしいとか、そんな希望を書く人もいますし、面と向かって言いにくいメッセージを家族に残す人もいます。その人の想いに合わせて活用してもらうようにしています」。西野さんはオリジナルのエンディングノートを作成して、セミナーや無料相談会の場で配布している。多種多様な相続と向き合った経験を生かしつつ、なるべく簡単に取り組めるよう記入項目に工夫を凝らして、「終活」の敷居を下げることに努めている。


「大切な人が亡くなったとき、相続の手続きに追われるよりも、故人をしのぶ時間を大切にしてほしいと思っています。事前に『終活』をしておくことがそういった時間を作ることに繋がります」と西野さん。人の生死に関わるシリアスな問題に接する仕事だけに、遺族から温かい感謝の言葉をもらえたとき、何よりやりがいを感じるという。人生の終わりを迎える人や遺される家族が抱える思いに寄り添い、気軽に相談できる環境づくりを大切にしながら、今日も精力的な活動を続けている。
行政書士西野剛志事務所 ぎょうせいしょし にしのつよし じむしょ
