
咀しゃくと脳血流量、 条件反射との関係性とは
習慣になると条件反射によって自然と体が動くことがありますよね。それって実は口の中ではとても重要な働きをしているそうなんです。赤木先生に咀しゃくや条件反射について話を聞きました。

皆さんはロシアのイアン・パブロフが行った実験をご存知でしょうか。パブロフは犬で条件反射の実験を行いました。「ベルを鳴らした後に餌を与える」という決まった条件を繰り返すことで、そのベルを聞かされただけで「犬はよだれを出す」という実験です。
前回の号で引用した東京都長寿医療センターの堀田晴美先生の論文では、食事の際、食べ物を咀しゃくする前にすでに脳血流量の増加を確認できたことが発表されています。咀しゃく時に顎が運動することで脳血流量は増加しますが、それ以前に食事を認知することで脳血流量の増加は始まっています。
これにより「食事を見る」ことで起こる脳神経の認知機能により、脳血流量が増加し脳の活性化が行われることがわかります。脳が活性化することにより、無意識の運動として食物に合わせた咀しゃくが行えるようになります。お肉、お米、豆腐、スープなど咬み方や飲み方を考えずとも、自然と行うことができます。
このような咀しゃく機能は脳の総合機能です。
見て、嗅いで、認識した食べ物は口の中に入れられると食べて良いものか駄目なものか瞬時に判断されます。髪の毛といった細かい異物も察知し瞬時に吐き出すといった敏感なセンサーがたくさん存在し、毒などから体を守ることにもなります。食事中の脳は口からの情報を総合的に判断し、指令を常に出し続けています。生命を維持するための食物を摂ること、そして命を守ることを同時に行っている、とても重要な役割を担う臓器が口です。


【まとめ】
食事の際、食物を見ただけで増加した脳血流量は咀しゃく運動によってさらに増加します。咬むことによって大量の感覚情報が脳に送られ、その情報によって体に指令をだします。咬むだけで最低でも20パーセントは血流量が増加することが明らかにされています。咀しゃく運動は体全身にとって大切な働きを担っています。もちろん、咀しゃくは「歯」があっての話になります。次回は、このことに触れていきます。