皆さんはロシアのイアン・パブロフが行った実験をご存知でしょうか。パブロフは犬で条件反射の実験を行いました。「ベルを鳴らした後に餌を与える」という決まった条件を繰り返すことで、そのベルを聞かされただけで「犬はよだれを出す」という実験です。
前回の号で引用した東京都長寿医療センターの堀田晴美先生の論文では、食事の際、食べ物を咀しゃくする前にすでに脳血流量の増加を確認できたことが発表されています。咀しゃく時に顎が運動することで脳血流量は増加しますが、それ以前に食事を認知することで脳血流量の増加は始まっています。
これにより「食事を見る」ことで起こる脳神経の認知機能により、脳血流量が増加し脳の活性化が行われることがわかります。脳が活性化することにより、無意識の運動として食物に合わせた咀しゃくが行えるようになります。お肉、お米、豆腐、スープなど咬み方や飲み方を考えずとも、自然と行うことができます。
このような咀しゃく機能は脳の総合機能です。