歴史小説家の私が何故、このような作品を書くことになったかというと、五年ほど前、とあるサイン会に来てくれた小学生の女の子が切っ掛けであった。
その子は読書好きであり、特に私の作品を気に入ってくれているという。友達に勧めたものの、「難しそう」と、全く読んでくれなかったそうだ。最近では小中学生の読者もそれなりに増えたものの、その頃はほぼ皆無といっても良かった。私は苦笑しつつ、
「じゃあ、何か読みやすそうなもん書いてみるわ」
と、その女の子に答えた。それが始まりである。そして、何を書こうかとぼんやり考えていた時、TVの取材を受けていた花いけバトルが目に入ったのだ。
高校生の男女が会場の花を取りに走り、少ない時間で懸命に花を活ける。勝てば歓喜し、負ければ肩を落とす。まさに青春といった光景であった。
毎年、夏になれば高校野球に熱狂する人も少なくない。甲子園での試合はTVで連日放送されるだけでなく、場合によっては地方予選から映ることもある。