吾翔けるvol.22 -関西人と関東人-

私は京都府生まれで、現在は滋賀県大津市に住んでいる。まあ、いわゆる「関西人」ということになる。関西と言っても、それぞれの県、さらには市町村、地域でも特色があるのは当然だが、今回は敢えてひと括りにさせて貰おう。何故ならば今回、対峙するのは「関東人」である。ひと先ず力を合わせようではないか。

ひと昔前に比べ、随分と東西の文化を隔てる壁は低くなったように思う。テレビで関西弁が当たり前に話されるようにもなったし、大阪を中心に関西の若い世代は、いわゆる「東京弁」を話す子が逆に多くなったらしい。マクド派は押されて、マック派がかなり増えたとか。

　心象的な部分に関してもそうだ。私の父母の世代までは、もっと関東、ことさら東京を嫌っていた人が多かったように感じる。大阪人はええかっこしいと嘯き、京都人にいたっては「東（あずま）の人」と平安時代のような呼び方をする人も多かった。大阪人、京都人は小競り合いを繰り返すものの、このように関東人という『共通の敵』には手を結んだりもする。
一方、関東人も、関西人にアレルギーを持つ人が多かったらしい。今もいるかもしれない。その理由でよく挙げられるのが「品が無い」だの「粗暴」だのという理由だ。
　はい、ここで私が言わせて貰う。数年前、コロナ禍で飲食店が閉店していた時期の話だ。東京駅の構内は居酒屋の様相を呈していた。正直、これには私も驚いた。思わず、

「大阪駅こんなんちゃうぞ」

　と、呟いたほど。大阪駅でもちらほら見かけたが、その比ではないのである。めちゃくちゃ多い。ひくほど多い。パーティーでもしてんのかってほど多い。しかも結構大きな声で喋ってる。喚いている。缶や瓶は放置されている。しかも見るからに無法者という感じではなく、ごくごく普通のサラリーマンだ。男女問わずだ。

　一応、フォローもしておくが、東京の人口に対してはほんの一部だと思う。他の地方から出て来た人も含まれていると思う。しかし、大阪駅以外の関西主要駅では見たことがなかったから吃驚した。
　しかし、逆もある。関西を歩いていると、「歩き煙草の人」に遭遇することが多い。このご時世に噓”やろというくらい。北新地や祇園などの繁華街ではかなり多く、オフィス街でもまあまあ見掛ける。これは東京では繁華街でもほぼ見掛けない。
　どういうことやと首を捻る。昼間は真面目に、夜になるとハメを外す人が出る。どうも昼と夜で変わる人が多い傾向のようだ。
　あくまで私見である。これを読んでおられる方の中にも関東出身者がいて、何を関西人めと思っておられるかもしれない。そういう私も関西から裏切者扱いされるかもしれないが、「これくらいの距離感のほうが楽やな」とか関東の良さを感じることもある。
　今回は少しマイナス面ばかりあげてしまったが、互いに良いところはきっとあるはずなのだ。前述したようにその壁が徐々に低くなっていることのほうが哀しい。それぞれの特色を消すことは、決して良いこととは思えないのである。今後、外国からの移住者が増える中、この国は何を認めて残し、何を認めずに改善していくのか、考えていく上でもよい例なのではないかと、無理やり上手く纏めてみる。