
吾翔けるvol.24 -動き続ける作家として-
昨今、毎週のように全国各地の書店が閉店している。この三十年で書店の数は約半数の一万一千店にまで減じてしまった。店頭販売を行わず、教科書だけを取り扱っている書店を除けば、その数はもう七千店ほどしか残っていないだろう。
書店減少の理由としてよく一番に挙げられるのは「若者の読書離れ」である。が、実はこれは嘘と言ってもよい。「若者」にどこまでを含めるのかという問題はあるものの、これを仮に小中高生とするならば、人口あたりの読書率は下がってはいない。いや、近頃ではむしろ微増しているのである。ただ若者を25歳くらいまでに広げると確かに減少している。特に18歳、23歳の落ち込みが大きい。就職してから可処分時間が極端に減り、読書時間が確保出来ないこと。大学生になってアルバイトなども出来て、他の娯楽にもある程度自由に手を出せるようになることが原因ではないかと推測できる。後者はともかくとして、前者に関しては、労働力不足といったこの国が抱えている今の状況に起因しているだろう。
しかし、これら読書離れ云々も、書店減少の原因の10%程度しかないように思う。90%は他の様々な問題によるもの。つまり出版業界には問題が山積なのである。この誌面で、人材や人件費、物価高騰、物流費などの問題、再販制度など一つ一つを挙げていけば、一年あっても足りないだろう。昭和の頃に構築された今の出版の仕組は激しい金属疲労を起こしている。
何も今になって解ったことではなく、十数年前、少なくともここ数年では誰もが予想していたことである。しかし、その間に業界に大きな変化はない。厳密に言えば変化する意志はあるものの、それを成し遂げられなかったというのが適当かもしれない。
最近では業界団体、あるいは国が主導するその手の会議に呼ばれることが増えた。何とかしなければならないという想いはあるだろう。が、私が参加していつも思う本音をここで吐露すれば、「とにかく遅え」ということだ。たった一つのことを決めるのに数年掛けることは珍しくはない。早くても数か月。遅い。遅すぎる。


まだ業界が元気な頃ならば構わないだろう。だが現状の出版界はすでに火の手が回った家屋のようなもの。現に悠長に論じている間に、一件、また一件と書店が消えていっているではないか。100点の施策を五年掛けて考えるより、60点でも、70点でも、まずは動かねばならないと私は強く思う。
とはいえ、言っていても何も変わらない。ならばまず動いてみる。学びがあるはず。その中でしか解決策も見つからないのではないか。そこで私は箕面市の「きのしたブックセンター」を引き継いだ。実際にやってみてやはり学ぶことは多い。作家をしていただけでは見えなかったことが多くある。
昨年末に佐賀駅の中に「佐賀之書店」を再建したのも同じ。今月、クリエイティブディレクターの佐藤可士和さんを招聘し、東京にシェア型書店「ほんまる」をオープンさせるのも、この形が地方の書店を救う可能性があると考えたから。事実、東京以外の方、この北摂地域の方から借主としての申込みもあり、私としてはとても嬉しく思っている。
今後、全国展開を考えているが、どこまで広げていけるかは判らない。それでもやってみるしかない。このことだけではなく、今後も私は諦めず動き続ける作家であろうと思っている。