豊中市に店舗兼工房を構えている、NEWDAYS FACTORYの大畑充弘さんをご紹介。プロダクトのはじまりは、なんと「ごみ箱」。ユニークな“もの”を作る大畑さんの信念や想いを聞いた。
-店内は大畑さんの脳内!?-
どこか秘密基地のように佇むお店には、まるでロボットのようなゴミ箱や美術館に置いてありそうなアルミの椅子、カラクリが見える手回し発電機のおもちゃなど、これまで見たことがないアイテムが所狭しと並ぶ。それらをNEWDAYSのプロダクトであるランプシェードのふんわりと柔らかな光が照らしている。まるで大畑さんの脳内が体現されているかのような不思議な空間だ。
NEWDAYSは10年前からスタートした個人プロダクトだが、大畑さん自身は28年前から現在に至るまで、リノベーションやインテリアを手掛ける㈱シンプルハウスで設計や企画に携わり、現在では副社長を務めている。勤続18年目を迎えたとき、ものづくりへの想いが湧き上がってきたという。「自分でリノベーションを手がけたお宅に改めてお邪魔した時、ここの空間に、こんなんあったらいいのになぁという気持ちが、ふつふつとあふれてきました。そして『ないのであれば、自分で作ろう』と。そのモノづくりへの思いが抑えきれなくなり、NEWDAYSは始まった。
-初プロダクトは『えんとつがあるごみ箱』-
第1号の作品はごみ箱だった。世の中のトレンドである「無味無臭で味気のないゴミ箱」に違和感を覚えたからだという。
「ごみ箱は他のインテリアに比べて地位が低いように思いますが、実は人の生活に欠かせないものであり、環境保護という非常に大きなテーマとも関わってくるもの。ゴミ問題を国や行政からではなく、一軒一軒の家から考えていけたら面白いな、というところからスタートしました」。
NEWDAYSから生み出されたごみ箱は、家具調のデザインで、ゴミを入れる入口が煙突のように大きく突き出て、暖炉のように見える。ごみ箱の名前は、煙突を意味する「チムニー」。日本の焼却炉(煙突)の多さから皮肉を込めて名付けられた。最新型はチムニー11号。ハンドル操作でゴミを左右に分別できたり、自動で開閉したり、ゴミと楽しく向き合うことができるユニークなチムニー達が生み出されている。
他にも、リサイクルしやすい金属であるアルミニウムや、軽量な素材なため物流の低エネルギー化が可能な、ガラスと繊維を組み合わせたFRP(Fiber Reinforced Plastics)という素材を中心に、「サスティナブルにも気を配りながら」、照明や椅子なども手がけている。
チムニー9号 MOTUS(モータス)。自動開閉式のごみ箱。
チムニー8号 SPOCK(スポック)。持ち運び型のごみ箱。
FRPで作ったランプシェード。一つひとつ表情が変わる。
-常識にとらわれず、自分らしさを追求する-
ものづくりについては特に学んだことはないという。原点はプラモデルに熱中した少年時代。
「ガンプラ世代で、小学生の頃は兄と街のプラモデル屋さんのコンテストに出ると、金賞銀賞を独占していました。FRPの製品は、型を作ってガラスの繊維を貼って固めていく工程が、どこかプラモデルに似ていますね」。
幼少期から持ち併せていた器用さに加え、ものづくりにおいて大きな武器となったのは、長年、シンプルハウスで住宅設計やインテリアに携
わってきた経験だという。「工房にこもって、ものづくりだけに没頭していると、お客様視点は持ちにくい。私の場合は、シンプルハウスという理想の暮らしを設計する仕事があるからこそ、お客様目線で、空間の中に『あったらいいな』を考える機会を得られたと思っています」。
ユニークな工房から、常識にとらわれないプロダクトを生み出すことで、「5年後には日本の新しい未来の空間創りをリードする存在になっていたい」と話す大畑さん。「夢というより野望ですけどね」と笑いながらも、わくわくするような未来へのイマジネーションが、大畑さんのさらなる原動力となっているようだ。NEWDAYSからこれからも生み出され続ける“楽しいもの”に注目していきたい。
【取材協力】
NEWDAYS FACTORY
豊中市上新田1-24 千里中央パークヒルズM棟109
営業日:毎月2日間のみ(土曜日) 11時〜18時
https://newdays.shop/