神峯山寺は、日本で最初に毘沙門天が安置された霊場として、三体の毘沙門天がご本尊として本堂に祀られており、いずれも秘仏。そのうちの一体である兜跋毘沙門天は、戦国時代に戦いや病に打ち勝つ神として戦国武将に信仰され、江戸時代には商売繁盛のご利益があるとして大阪の商売人からも崇められたという。その兜跋毘沙門天のご開帳に合わせて本堂で行われるのが、経文や真言に旋律抑揚をつけた「天台声明」の曼荼羅法要だ。「天台声明」は無形文化財にも指定されており、美しい音色のような読経が堂内に響き渡る。『秋の大祭』に参加すると、本堂内で天台声明を拝聴しながら内内陣の兜跋毘沙門天の前で僧侶から直接加持を受けることができる。