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今年で10年目 高槻「千鳥劇場」 コロナでもささやかな娯楽を

2020.11.25

人々でにぎわう高槻センター街。雑居ビル2階のカラオケ店へと続く階段に「大衆演劇 千鳥劇場」ののぼりが立つ。今年11月でちょうど10年目を迎えた千鳥劇場は、新型コロナウイルスの影響によって一時は売上が激減した。感染拡大防止のため、従来のにぎやかさは抑えられているが、根強いファンに支えられて少しずつ活気を取り戻している。

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開演前の劇場

同じフロアにカラオケ店もある千鳥劇場は、かつて映画館だった場所を改装したもの。言われてみれば、入口や受付カウンターは古い映画館の面影を残している。114席の劇場をメインに、横にあるミニシアターの部屋を楽屋として利用している。

古い映画館の面影を残す劇場の入口

大衆演劇は前半が演劇、後半が歌や踊りのショーという構成で1回3時間、昼と夜の1日2回が基本だ。演劇は喜劇や悲劇、時代劇から現代劇まで様々で、ショーは毎曲、毎日すべて衣装を替える。それを数日の休みを除いて約1か月間ほぼ毎日公演する。劇団の衣装やカツラの量は膨大で、劇団の荷物の搬入時は10トントラック2台が劇場前に止まるのだとか。

劇場内の壁に公演の日程が貼られる

「毎日違う演目ですし、きらびやかな衣装もすべて替えますから、飽きることがありません。しかも3時間で2,000円。生のステージを低予算で楽しめるのが、大衆演劇の魅力です。お年寄りの“いやし”ですね」とオーナーの西村さんは話し、毎日欠かさず来る人もいるのだという。

あでやかな着物とライティングでステージを舞うショータイム

そんなささやかな娯楽は、コロナの影響で大きく変わった。持ち込みOKだった食事はできなくなり、演劇やショーの合間に「よっ、座長!」など役者の名前を呼びかける「ハンチョ」や拍手もなし。ステージが終わると役者たちが外に出て客を見送るのが恒例で、センター街が一瞬華やかになったものだが、それも自粛中。今は楽屋の入口で少し顔を出す程度だ。「ずいぶん静かになってしまいました。でも一時期より入場制限が緩くなったので、それだけでもありがたいです」と西村さん。

コロナ対策には気を配る

密閉空間で役者との距離が近いのも魅力の1つである大衆演劇にとって、感染症対策に神経を遣うのは想像に難くない。間隔を空けるため座席数を減らし、劇場内の換気を徹底、入場時の検温や公演後のアルコール消毒など、最小限のスタッフで何とか対応している。「劇団は全国で200近くあるそうですが、コロナで廃業したという話も聞きます」。千鳥劇場は今年で10年目。人気役者を迎えて、高槻現代劇場で規模を拡大した記念公演を予定していたが、延期せざるを得なくなった。詳細未定だが、西村さんは「コロナが終息したら開きたい」と考えている。

公演終了後、役者との会話もそこそこに劇場を出ていく観客たち。高槻在住という女性2人組に声をかけると「踊りが上手だし着物も素敵。楽しいから毎日来ちゃう」「私は演劇が好き」と笑顔を見せた。コロナ明けの活気が待ち望まれる。

恒例の見送りも楽屋から遠目に

高槻 千鳥劇場

高槻市高槻町18-5 高槻センター街 ジョイプラザビル2階

TEL.072-683-8600

記事内の情報は取材当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。