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地震追って90年 ― 高槻・京大阿武山観測所 ― 〈下〉

2020.12.02
空から見た阿武山観測所。変化のある建物配置となっている=高槻市奈佐原、同観測所提供

 

1930年設立の京都大学防災研究所付属地震予知研究センターの阿武山観測所(高槻市奈佐原)は、知られざる展望の名所だ。大阪平野を眼下にし、淡路島や関西空港も望める。2kmほど南に名神高速が走るのが見えるが、その付近にはよく知られた活断層「有馬-高槻断層帯」があり、重要な観測対象となっている。
活断層が地震の原因になることは、「六甲・淡路島断層帯」が起こした阪神・淡路大震災(1995年)で広く認識されることとなった。「有馬‐高槻」は神戸市の有馬温泉の西から池田市、箕面市などを経て高槻市北部に至る約55km。これがあるから阿武山に観測所ができたと思う方がいるかもしれないが、所長の飯尾能久(よしひさ)・防災研教授=地震学=によると、設立当時は活断層という概念自体なく、「有馬‐高槻」の存在も全く知られていなかったそうだ。

「有馬‐高槻」は1596年の慶長伏見地震の際に活動した。この時、豊臣秀吉の伏見城が倒壊、史実とは認められないが、歌舞伎や落語には加藤清正が秀吉をおんぶして脱出させる話がある。活動間隔は1千~2千年に一度程度と考えられ、阪神・淡路や2018年の大阪北部地震でも動いていないという。ただ飯尾所長は「断層近くは地震波が大きくなり、被害を受けやすい。それに『六甲・淡路島』は慶長地震でも動いており、『有馬‐高槻』が活動しない保証はない」と話す。

マグニチュード6.1の大阪北部地震は高槻市付近が震源だった。ブロック塀が倒れ、女児が亡くなるなどした被害は記憶に新しい。政府の地震本部は周辺にある「有馬‐高槻」「生駒断層帯」「上町断層帯」は直接の関係はないと推定し、未知の二つの小さな断層が別の方向にずれたとみている。
飯尾所長は「そもそも近畿は活断層が多く、内陸地震が起きやすいところ」と警告する。さらに南海トラフ巨大地震の心配もある。地震本部によると、30年以内に発生する確率は70~80%だ。「北摂の方は大阪北部地震で怖い思いをされただろうが、もっと大きな地震がいつ起きるとも限らない。家具を固定するなどできる備えを確実にやっておいてほしい」

観測所地下の展示室にあるガリチン地震計。世界で始めて揺れを電気信号に変換して記録し、より小さな揺れも観測できた。阿武山では1938年から使われた

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