地域情報紙「City Life」が発信する地域密着のニュースサイト

CULTUREコラムVOL.14 梅花から「令和」を込めて

2020.12.04

国生み神話を読みながら

日本神話に列島の誕生を読むと、『古事記』ではイザナキとイザナミの神が結婚して、大八島国(おおやしまのくに)を生みます。はじめに誕生したのが淡路島。次いで四国。日本海側には隠岐の島。さらに南へ下って九州。そして壱岐から対馬へと。少し離れたところには佐渡島。最後に本州が誕生します。大きな島が八つ生まれたので、これを「大八島国」と呼んでいます。淡路島から対馬までの誕生を見ていると、大阪湾を出発して、瀬戸内海を通り、その目が東アジアへと向けられていることがわかります。イザナキとイザナミの神は、この他にも周辺に島々を生み出しました。

それ以前の地上はどうだったのか。世界はまだわかく、水に浮かんでいる脂のようで、クラゲのように漂っていたとあります。イザナキとイザナミの神は、天上の高天原(たかあまのはら)から降りてくるのですが、すぐには無理でした。天(あめ)の浮き橋というところに立って、天の沼矛(ぬぼこ)をさしおろしてかきまわすと、コオロコオロと鳴り、引き上げると、矛の先からしたたり落ちた潮が積もって島になったといいます。自らできたのでオノゴロ島です。海をかきまわしたように読むことができますね。

この島はどこにあるのか?と尋ねられたら、大八島国の誕生する順番から考えて、大阪湾にあったと想像されます。もちろん潮でできた島なので、今探しに出かけても溶けてしまっているのでしょうが・・・。イザナキとイザナミの神は生み出した島に、土や石、川や木、風など、私たちが生きていくために必要な自然を次々と誕生させていきます。私たちが生活するすべてのものやことに神を見出していくと、八百万(やおよろず)の神々がいるといわれても、なるほどとうなずけます。今日でも私たちは、家を建てる時に地鎮祭をし、水の中や大きな岩等にお賽銭をあげていますから。

さて、そうした国やさまざまな自然を生み出した、イザナキとイザナミの神に会いに出かけようと、地図を広げてみると、淡路島に「伊弉諾(いざなき)神宮」があります。明石には「伊弉冊(いざなみ)神社」。大阪湾を取り囲むように、摂津国にも目を向けてみると、北摂には吹田市に伊射奈岐(いざなき)神社が二座もあり、訪ねることができます。いずれも式内社(平安時代に編まれた『延喜式』の中に記されている神社)、伝統ある神社です。

◊   ◊   ◊   ◊   ◊

 

梅花女子大学教授 市瀬 雅之

現代訳から原文までを用いて『万葉集』に文学を楽しむほか、『古事記』や『日本書紀』等に日本神話や説話、古代史をわかりやすく読み解く。中京大学大学院修了 博士(文学)。著書に『大伴家持論 文学と氏族伝統一』おうふう 1997年、『万葉集編纂論』おうふう2007年、『北大阪に眠る古代天皇と貴族たち 記紀万葉の歴史と文学』梅花学園生涯学習センター公開講座ブックレット 2010年。ほか執筆・講演・講座多数

 

newstest

北摂・阪神の地域情報紙『シティライフ』編集部です。 地域密着の情報をお届けします。
HP https://citylife-new.com/

記事内の情報は取材当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。