東京五輪女子マラソン代表、前田選手へ恩師からエール
2021.03.01
東京五輪女子マラソン代表の前田穂南選手(天満屋)が、1月31日、大阪国際女子マラソンで自己記録を更新した。
同じく五輪代表の一山麻緒選手(ワコール)に敗れたものの、最後まで粘り強さを見せた。
「あれが前田なんです」。大阪薫英女学院高(摂津市)で指導した陸上部の安田功監督はそう話す。
同校は、全国高校駅伝で2度の優勝を果たした強豪校。
初優勝を飾った2014年、前田選手は3年生だった。だが当時のメンバーに彼女の名前はない。
「10キロ以上の長距離を走らせると前田は強かった。ただ、持ち味である持久力を発揮するには高校駅伝の距離は短すぎた」。
スピードのある他のメンバーにわずかに及ばず、全国の舞台で走ることなく高校生活を終えた。
「悔しいことも多かったと思う。でもパッと気持ちを切り替えて次の目標に向かっていける強さがあった」と監督は振り返る。
全国優勝した大会から帰宅した夜も、「私はレースに出てないから疲れていない」と自主練習に行ったという。
3年間、全国高校駅伝への出走は叶わなかったが、当時から「マラソンでオリンピックに出る」と話していた。
その言葉通り、一昨年9月に行われた代表選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ」(MGC)では、2位の鈴木亜由子選手(日本郵政グループ)に4分近い差をつけて優勝。
五輪への切符をつかんだ。
2020年の全国都道府県対抗駅伝の大阪チーム。 前田選手(監督左)はアンカーとして出場(安田監督提供)
地面をあまりキックしない走法は「体力のロスが少なく、過酷な夏のマラソンに向いている」と監督は言う。
また「レースの結果よりも、自分の走りを良くすることにこだわる姿勢」が精神的な安定感につながっている。
開催が危ぶまれる東京五輪。不透明な状況が続くが、監督に宛てた手紙には「金メダルを目指してがんばる」と書かれていたという。
安田監督は「過酷な条件になればなるほど彼女の強さが出ると思う。練習の成果をしっかり出して、本人の目標に近づけるようがんばってほしい」とエールを送った。
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