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子育て中のママが作ったママのための会社

2021.03.03

コロナ禍による外出自粛が続くなか、家事や育児をする母親の負担が増えている。

摂津市に、そんな母親が自分の時間を過ごしたり、子育てしながら働いたりできる場を提供している企業がある。

立ち上げたのは新田昌恵さん。

現在3人の子どもを育てながら「マミー・クリスタル」代表として働いている。

起業のきっかけは、2011年、子育て中に「ママとつながる機会がほしい」とSNS「mixi(ミクシィ)」でコミュニティーを作ったことだった。

コンセプトは「講師もママ、生徒もママの習い事サークル」。

「資格はあるけど子どもがいるから教えられない」「習いたいけど子どもいるからレッスンに通えない」といった思いを抱えた母親たちが集まり、1ヵ月でメンバーは100人ほどに。

自宅のリビングで料理やお菓子作り、フラワーアレンジメントなどの講座を開くと、毎回キャンセル待ちが出た。

 

託児つきサロン「マミクリ・プレイス」

2013年には「摂津でイベントをしたい」というメンバーの声から「摂津まるごとマーケット」を開催。摂津市内の飲食店などが出店し、1日で約5000人を集客するイベントへと成長した。

企業から母親をターゲットにした商品開発などの仕事が舞い込むようになり、2019年、株式化して再スタートを切った。

 

「マミクリ・プレイス」の託児スペース

昨春の緊急事態宣言時には、家事の負担が増えるというニーズをくみ取り、摂津市の配食サービス業者「キッチン・こらぼ」と協力。

「米はおにぎりに」「ゼリーは絶対にいれてほしい」など母親のリアルな声をもとに、子ども用、幼児用の弁当を開発し、発案から1週間で注文サイトを立ち上げた。

昨年は託児つきサロン「マミクリ・プレイス」をオープン。

ネイルやマッサージのほか、各種レッスンが受けられる。今年からは企業の業務請負にも力を入れ、子育てしながら在宅で仕事ができる仕組みもスタートさせた。

 

「マミクリ・プレイス」では子どもを預けながらネイルを楽しめる

コロナ禍で休業を余儀なくされる企業が相次ぐ中、母親の思いを形にしながら働ける仕組みを作りだした新田さん。目標は「全国にマミー・クリスタルを作ること」。

「旦那さんの転勤などで摂津を離れて行ったメンバーたちに10年間、約束しつづけてきたので」。

一人の母親から生まれたサークルは全国へ広がっていく。

記事内の情報は取材当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。