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通信制高校の選び方 子どものために保護者ができること

2021.07.17

生活様式が多様化し、教育も個人に合ったスタイルを選ぶ時代です。個性を尊重する教育機関として関心が高まる通信制高校について、学びリンク株式会社の山口教雄さんにお話を聞きました。

ますますオープンになる通信制高校

通信制高校を考えたときに、負い目や抵抗を感じる保護者もいますが、年々イメージは変わっています。3年前の統計では通信制高校に通う子どもは20人に1人だったのが、今では16人に1人。今後も増えていくと言われています。有名スポーツ選手や芸能人が通っていることもプラスに働いているようです。近年、中央教育審議会でも「個別最適な学び」に取り組むなど、多様な学び方ができる時代になりました。

 

できるだけ早く動いて選択肢を増やそう

詳しくない人ですと、“通信制=学校に通わない”と想像しがちですが、かなりのバリエーションがあります。もちろん、ほとんど通学しなくて済む学校もありますが、逆に通学が多いものや、病気の子に配慮したカリキュラムの学校もありますので、子どもの状態に合わせて選んであげましょう。最近では子ども自身が探すことも増えているようですが、保護者の方が探す時は、情報収集にしても学校の先生に相談するにしても、選択肢を増やすために早めに動きましょう。周囲に相談できずに悩む方は、各学校でオープンキャンパスが開かれていたり、合同でイベントが開催されていますので参加してみてはいかがでしょう。同じ思いを抱える保護者と情報だけでなく気持ちも共有できるのでおすすめです。

 

親は焦らず子どもの意見を尊重して

不登校や引きこもりの子を持つ保護者に気を付けてほしいのは「通信制高校にさえ行けば変わるに違いない」と思い込むこと。保護者が焦って、本人の意に反した学校選びをすると、逆効果になる恐れもあります。子どもも「親に申し訳ない」「何とかしなければ」と考えています。せっかくの機会なので、しっかり子どもに向き合いましょう。
ここ最近は中学校卒業生の通信制高校への進学も増えています。少人数制で一人ひとりをしっかり見てもらえる仕組みになっていて、新入生から選ぶ子も多いようです。通信制高校側も中学新卒生によるクラス編成をするなど新入生の不安が軽くなるような配慮も見られます。

【通信制高校】 通信教育で学習する高等学校。個々のペースで学習し、卒業要件を満たせば高校卒業資格を得ることができる。

【サポート校】 塾のような形で、通信制高校に在籍する生徒が卒業できるように支援する民間の教育施設。

【フリースクール】 生徒の興味や主体性を尊重し、新しい居場所を提供する民間の教育施設。

 

山口 教雄さん
学びリンク株式会社代表
通信制高校などの新しい学びの場をテーマに、20年以上多くの情報支援を行う

 

学びリンク発行本
「 不登校からの進路選択 」
~自分の歩幅で社会とつながる~
福本早穂著 (2021年5月発行)

不登校の子どもが進路を選ぶときのサポート方法がわかる書籍。本文では不登校を経験し、高校・大学・大学院・社会へと進んだ進路選択の事例を多数紹介。少し先の未来が見えると共に、今の不安にも寄り添う一冊。

 

 

編集部コメント

取材をして学校ごとに本当にカラーが違うと感じました。一つの学校にもコースが複数あったり、オプションで専門の授業も受けられたりと選択肢が多い分、迷ってしまうことがあると思います。見学に行って先生の想いや生徒の雰囲気、生徒と先生の関係、校舎の様子を肌で感じてほしいです。

 

記事内の情報は取材当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。