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これからの社会が求める力「理系脳」を育てよう

2021.08.29

IT化がますます進む現代社会。自分の頭で考えて問題を解決する〝理系脳〞が注目を集めています。
そこで、幼児期と学齢期にできる理系脳の育て方を伺いました。

 

〈この方に聞きました〉

諸葛正弥教育総合研究所

諸葛 正弥さん

安田学園中学校高等学校・教育企画開発本部部長、千葉県立柏高等学校SSH運営指導協議員。全国で教員研修講師として活動し、
学校改革のコンサルティングを行う。現在は私立中高一貫校に勤務。

 

理系脳ってどんな脳?

理系脳と聞けば理科や算数が得意というイメージがありますが、発想力・論理力・推理力・検証力などの能力のこと。

たとえば、パズルを解くために子どもは発想力・論理力などの理系思考を駆使します。「どうしたらできるのかな」「こうしたら何が起こるかな」と頭をひねり、自ら解決法を生み出す能力こそが理系脳なのです。

従来のみんなの意見をまとめてから方針を決める〝網羅的思考〞ではなく、仮説を立て、考えながら前進していく問題解決能力がより求められてきます。

また、理系脳は先天的なものではなく、後天的に育めるものです。生まれつきの理系と呼ばれる人も、ほとんどの場合は幼児期や学齢期の経験を通して理系脳が発達した結果です。

子ども時代の遊びや経験を通して問題解決能力を育むことで、理系脳力を伸ばすことは十分に可能です。

 

学齢別 理系脳を育てるヒント

0~6歳 興味のある遊びを徹底追求

遊びや学びのジャンルにこだわらず子どもが興味を持ったことは徹底的にやらせてあげましょう。

その際、親も興味を持って一緒に追求するようにすると良いです。一生懸命に追求し、刺激を受けた経験は、後の学習への大きな力となります。

 

6~8歳 植物や虫、自然に向き合う

「青虫はなぜ蝶になるのだろう」というような理科的な興味は、理系脳を刺激します。学齢が上がると虫や植物に対する関心が薄くなりがちなので、時間の変化や成長を感じる体験は低学年のうちに。虫を持って帰ってきたり、服を汚しても叱らず一緒に観察するなど、一旦は受け止めてあげましょう。

 

8~10歳 外遊びでデザイン思考を伸ばす

ルールやハンデを考えて鬼ごっこをするなど、工夫を凝らした外遊びがおすすめ。他者との関わりを考えたり遊びのデザインを考えたりなど、外遊びをカスタマイズする経験は、理系的思考のセンスを養います。

 

0~10歳 効果的な生活習慣は読み聞かせ

幼児期~学齢期は読み聞かせを利用したディスカッションがおすすめ。読み聞かせでは物語をすべて読み切らずに、章ごとなど短い区切りで話を止めて、それまでの展開を子どもと話し合ってみて下さい。「この後どうなるんだろうね」「どうして〇〇が泣いちゃったのかな?」など、子どもの意見を聞いてみましょう。

意見の正解・不正解ではなく、子どもと真剣に語り合うことが大切。答えが間違っていても、「〇〇ちゃんは、そうなんだね。お母さんはたぶんこうだと思うんだ」というように、子どもの意見を受け止めて話し合うのがコツです。

記事内の情報は取材当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。