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【SDGs】「明るい気分になる」おしゃれなタオルで 大量廃棄される糸を削減

2021.08.28

タオル工場で廃棄する糸を利用したタオル「nokori-ito(のこり-いと)」で、SDG達成を目指す吹田市の神野織物株式会社。今年5月末に行ったクラウドファンディングでは、目標金額の5倍以上を達成し、多くの人の関心を集めた。

このプロジェクトを機に、同社と取引のある日本最大のタオル産地・愛媛県今治市の工場では、残糸が確実に減少しているという。nokori-ito誕生秘話について、同社代表取締役・神野哲郎さんと専務・辻良岳さんに聞いた。

※トップ画像はnokori-itoのミニバスタオルを手にする神野社長(左)と辻さん。干しやすいサイズが自慢。

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—以前から課題だった「残糸」問題

同社では、事業の1つとしてイベントなどで使うタオルや手ぬぐいの制作を手掛けている。その際に発生する「残糸」が以前から問題になっていた。

「タオル製造時はデザインに関わらず、出来上がるタオルよりも10~20%余分に糸を準備するため必ず余ります。他の商品に使いまわすこともありますが、イベントやコンサート用のタオルは特殊な色であるため、ほぼ使いまわしできません。そのような残糸は、1工場あたり約5万枚のフェイスタオルの分量になり、多くは1年で焼却処分されるんです」

ミニタオル

「手洗い用ミニタオル」は消費者の意見を取り入れ、コンパクトな縦長サイズに。明るい色合いはSDGsのロゴにも似ている? ミニバスタオルと共に8月からウェブショップなどで一般発売

昨年のコロナ禍によってイベントの中止が相次いだ際、糸をつくったところで生産がストップしたため残糸が一層増えた。

これまでも業界では残糸を再利用しようとする動きはあったという。「『残糸タオル』という商品名で昔から流通していますが、あまりいいイメージがないのか、それほど浸透していませんでした」と辻さん。しかし実際は「色を変えるたびに職人が手作業で糸を繋いでいくので、普通のタオルより手間がかかります。また残った糸というだけで、品質は普通のタオルと同じなんです」という。

—クラウドファンディングでイメージを覆す

以前からSDGsの取り組みを進めてきた同社は、「残糸の削減がSDGs貢献に繋がる」と、今治のタオル工場と連携して「残り糸削減プジェクト」を開始。一般消費者の関心度も高いクラウドファンディングを利用することで、残糸タオルのイメージを覆したいと考えた。

残糸を「残り糸」と柔らかい言い回しに変え、長く使ってもらえるように、最新技術を用いた抗菌・抗ウイルス加工や、干しやすさ、速乾性に耐久性など考慮。今治タオルということで品質にも自信を持つ。支援の一部を子どもの貧困対策を実施している基金に寄付し、以前から継続している就労支援施設への作業依頼も決めた。

sdgsロゴその1

タオル製造時に発生する残糸をリサイクルすることで、ゴミを出さないと同時に焼却処分による温室効果ガスを削減。

予想を上回る結果となったクラウドファンディングでは、「カラフルなので見ているだけで明るい気分になる」「タオルの中からついこれを取る」などの感想が寄せられ、主婦層など女性から多くの支持を得た。クラウドファンディングの話は今治の新聞でも取り上げられた。「ほかの工場でも『残糸を利用しよう』と考えてくれるといいですね」と神野さんは話す。

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—来夏に向けて新商品を開発中

現在、新たなSDGs貢献として、夏の熱中症対策などのため冷やして使う「クールタオル」の商品開発を進めている。「クールタオルはナイロンが主流ですが、うちでは“手ぬぐい”で挑戦します。天然素材で作れば、より環境に優しいものができると思います」

綿と和紙に使う繊維を使い、環境に優しいだけでなく、天然素材ならではの通気性や肌触りなど機能面でも効果を期待できるという。今年中に完成させ、来夏までの販売を目指している。

sdgsロゴその2

就労支援施設に商品の梱包や加工を依頼

神野織物株式会社

オリジナルタオルや手ぬぐいの製作などを手掛ける織物問屋。創業120年。イベントやコンサートなどのグッズ、百貨店などに卸す商品も製作している。

吹田市片山町4-33-40
TEL.06-6337-0112
公式サイト

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