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クラウドファンディングで支援を募集中 大震災を語り継ぐ映画 「にしきたショパン」

2019.09.04

阪神大震災より25年となる2020年公開を目指して、西宮北口を舞台にした映画「にしきたショパン」の製作が進んでいる。プロデューサ-として映画製作をけん引する近藤修平さんに話を伺った。

「にしきたショパン」はピアニストを目指す2人のストーリー。

-様々な顔をお持ちの近藤さんですが、経歴をお聞かせください
もともと大阪ガスに勤めていましたが、母親がやっている喫茶店を手伝いながら、昔からやりたかった文化芸術系のプロデュースをしたいなと思い、去年58歳で早期退職しました。

-映画製作のきっかけは?
中学時代は写真部で、将来は写真家か映画監督にと思っていました。歌を始めたこともありますが、阪神淡路大震災が転機だったと思います。本社営業マンでしたが、現場に入り復旧作業をしまして、建物が壊れ、人が亡くなっている現実に衝撃を受け、いろいろな事を感じました。「せっかく生きているんだから」と、中途半端な事は止めて、徹底的にやろうという気持ちになりました。そこへ今度は東日本大震災です。震災経験者として何かできないか考えていた時に、たまたま東日本復興支援作品募集というのを見つけまして、小説を書こうと思い立ち、「マスター先生」という小説を書いたんです。西宮高校の元音楽教師のマスターが開いたピアノバーの物語で、「がんばって一つの事を続けたら、またいいこともある」というメッセージを込めました。書籍化が決まり、「のだめカンタービレ」のコンサートでも有名な指揮者、茂木大輔さんが、本の推薦文を帯に書いてくれることになり、そこにあったのが「映画化希望」という言葉です。そんな簡単に映画になるものでもないし、その時は、そう思って下さって良かったなぁという感じでしたね。

-そこから、具体化したのはどういう経緯でしょうか
2年前に、経営する喫茶店に短編映画のロケをしたいと、若い女性が訪れてきて、サロンコンサートのシーンの撮影をすることになりました。それが竹本監督との出会いです。映像を観て、この人の才能は凄いと感じました。「マスター先生」の本をプレゼントすると、「映画にしますか」という話になりまして、そこから1年半くらい、竹本監督に私の思いを伝え、ピアニストを目指す男女を主役にした、小説のアナザーストーリーのシナリオが完成しました。まずあったのは、震災の記憶を語り継ぐような映画にしたいということです。また、局所性ジストニアのため左手だけで演奏する「左手のピアニスト」と出合ったことから、その支援も盛り込みたいと思いました。竹本監督は自ら左手のピアニストのコンクールを聴きに行って、左手のピアニスト智内威雄さんや瀬川泰代さんにインタビューし、「左手のピアニスト」への理解を深めました。それらの思いを取り込んで、いよいよスタートしました。

-どのような作品となりそうですか
4月28日に西宮地方卸売市場の撮影から始まりました。西宮を中心に、宝塚、武庫之荘でもロケをしています。俳優さん達は、ほとんどオーディションで選びました。主役の水田汐音さんは、西宮市内の高校生で、ベートヴェン国際コンクールin Asiaで第一位のピアノの実力があり、ミュージカルの経験もあります。彼女は奇跡的と思えるほど役にピッタリで、音楽シーンなど、ある意味ドキュメントと言えるリアルな成長を演じてくれています。もう一人の主役の中村拳司君は、ピアノは弾けないんですけど、特訓してくれました。音楽をふんだんに入れた作品で、そこも魅力だと思いますが、ベースは二人の人間ドラマなので、クラシックに詳しくなくても楽しんでいただけるように作ってあります。

阪急西宮北口駅周辺もロケ地となっている。

-2019年9月31日までクラウドファンディングで支援を募っているそうですね
自己資金を投資し、監督と二人で支援なしで、夢に賭けようとやってきましたが、映画の完成を約束できる段階に来ました。ここからは、できれば多くの方に応援していただきたく、コンクールシーンやスタッフの充実などへご支援をお願いしています。西宮北口は4方向にアクセスする、人や文化の交差点です。楽器を持っている人も多く、宝塚スターも普通に歩いている、こんな駅は他にはないでしょう。住んでいる人、通り過ぎて行く人、多くの人の思いや地域の歴史を作品に込めて、愛される映画になって欲しいと思っています。

製作状況、イベント、クラウドファンディングなどの情報はFacebook「にしきたショパン映画化への道」から発信している。

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