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【SDGs】“本物の一杯”と“地球環境への貢献”を両立するスペシャルティコーヒー

2021.10.31
西村さんがある店で見つけるやいなや行動を起こし手に入れたカンニングマシン。当時は国内に3台あるうちの2台を所有していたとか。

 

10月にオープンしたスペシャルティコーヒー専門店「Terra Coffee Roasters(テラ・コーヒー・ロースターズ)」。店名の由来である「テロワール」は、“土壌”を表す言葉で、「生産地だけでなく、梱包から輸送まで関わる全ての背景を含めて味わってほしい」という思いが込められている。こだわり抜いた1杯は、地球環境への配慮や携わる人への貢献に繋がっている。

既にファン多数の本物の味

Terra Coffee Roastersでは高品質な豆のみを取り扱い、一流バリスタの手によって丁寧に焙煎するなどこだわりの一杯を提供している。今年10月の実店舗オープンに先駆けて、この1年間はイベント出店を多数手がけてきた。本物の味を好むアーティストや芸能人のファンもすでに多く、飲み物をその場で缶に封入する“カンニングマシン”を導入して話題に上った。

華やかでオシャレな表舞台だが、同時に環境への配慮も兼ねている。例えばカンニングマシンについて、「環境のことを考えるのは当然ですが、カッコイイというのも大事。缶は再生可能ですし、味の劣化も防ぐというのも意味がある。マシンは見た目にも面白いので、感度の高いインスタグラマーが拡散しました。そういうのがいいですよね」と話す。ほかにも販売するコーヒー豆は瓶で提供。ラベルはワインボトルのように農場ごとにデザインを変え、リピーターの目を楽しませる。

「1回目は瓶、2回からは再生可能な袋で」と“サスティナブル”な容器を使った販売を検討中。

コーヒーの価値を高めて生産者に貢献したい

また豆の品質を確保するため、生産者から手元に届くまで“顔”の見えるルートのみを取り扱う。「産地よっては一ヵ所に豆が集められて、どこの農園の豆か分からないということもあります。それだと、品質の悪いものが混ざってしまうこともあるんです」

西村さんは「おいしさを求めたら自然とこうなりました。コーヒーは安いと一杯100〜200円でしょう?でもそこには100人以上の人が関わっているんです。農園の人たちは貧しいので、自分の作っているコーヒーの味を知らないし、経営不振で廃業する農園もある。おいしいものを作って、みんなが本来の価値を知れば、農園も裕福になる。作り手がもっとおいしいコーヒーを作りたいと思えたら、また価値が上がる。そういう循環になればいいですね」と話す。良い味を生み出す土壌の周辺環境を整えることもまた、自身の使命だと考えている。

「循環を生み出すには、1人親方ではなく組織でやらないと。今後は店舗も増やしていきたい」と西村さん。


PROFILE

西村 紀彦●Terra Coffee Roastersオーナー。会社員時代からのコーヒー好きで「1日何杯も飲む人が本物の味を知らないのはもったいない」とスペシャルティコーヒーの道を決意。日本屈指のバリスタと出会い、会社を設立。イベント出店を経て10月、豊中に実店舗オープン。

TERRA COFFEE ROASTERS 新千里東店
豊中市新千里東町3-3-120 パークホームズ千里中央ザレジデンス 1F
Instagram:@terracoffeeroasters

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