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大阪のビールを発信 クラフトビール醸造所18社が協会を設立

2021.11.03
「ハーベストの丘」(堺市)で仕込み作業を行ったOBAメンバー

 

「箕面ビール」(箕面市)や「3TREE BREWERY(スリーツリー ブルワリー)」(茨木市)など、府内でクラフトビールを醸造する18社が「大阪ブルワーズアソシエーション(OBA)」を設立した。

9月には合同で仕込んだ「OBAビール」を発売。昨年以降、コロナ禍で苦境に立たされるビール業界だが、協会の会長を務める「箕面ビール」大下香緒里代表は「結束して厳しい局面を乗り越え、大阪のビールを発信していきたい」と話す。

 

地ビール総出荷量 約25%減

民間信用調査会社の東京商工リサーチによると、全国の主要地ビールメーカー70社の昨年1~8月の総出荷量は、6,666.2klで前年同期に比べて25.1%の減少となった。

特に、全国的に緊急事態宣言の影響を受けた昨年5月は58.0%減(前年同月比)と、過去最大の下げ幅を記録した。

今年に入って前年の出荷量を上回る月もあったものの、出荷増が期待された8月は外出自粛や飲食店の時短営業、酒類提供の制限などが重なり5.1%減(前年同月比)となった。

 

ビールの世界大会で多くの受賞歴をもつ箕面ビールも、大下代表によると昨年は「落ち込んだ月は例年の5~6割減」となった。

家飲み需要により一部回復するも、今年に入り緊急事態宣言の長期化の影響を受け、厳しい状況が続いた。

醸造したビールをその場で提供するブリューパブを営む協会員の事業者は、時短営業や酒類提供の制限などでコロナ禍の影響はより深刻だったという。

 

助け合えるネットワーク作りを

協会を設立する構想は数年前からあったが、「コロナ禍での厳しい状況が後押しになった」と大下代表は言う。

各社が苦境に立たされながら、相次ぐビールイベントの中止により醸造所同士の交流も失われていた。

そこで「醸造技術の向上と、助け合えるようなネットワーク作り」を目的として協会の設立に至った。

 

 

OBAビール

今回発売した「OBAビール」はアルコール度数4.5%と飲みやすいセッションIPA。アメリカンホップの香りと苦みを最大限に引き出し、爽やかな味わいに仕上げた。

仕込み作業は、会員の醸造所11社が集まって行い、麦汁を作る際の温度設定やホップの煮沸時間など現場で話し合いながら完成させた。

出荷量については「まだスローペース」だが、10月から飲食店での酒類提供が認められたこともあり、「これから順調に伸びてくれれば」と期待する。今後も、OBAブランドで新たなスタイルのビールを醸造する予定だ。

 

仕込み作業の様子

醸造所に足を運ぶきっかけに

「クラフトビールは同じ原材料、同じスタイルでも造り手によって風味や味わいが違う」と大下代表はいう。

地方ごとに地元の人に愛され、そこに根付いたクラフトビールがある。造り手と飲む人が身近で、醸造所ごとの個性を楽しんでもらえるのがクラフトビールの魅力だと考える。

 

大下代表は「OBAビールをきっかけに、大阪にもたくさんのブルワリー(醸造所)があることを知ってもらい、ぜひ地元のブルワリーに足を運んでほしい」と話している。

 

「コロナ禍で時間に余裕ができ、新しいビールの開発も積極的に行っている」と話す大下代表

 

 

「OBAビール」(330ml瓶/参考価格600円)。
購入は「ハーベストの丘」HPにある注文書を印刷してFAX(072-296-9920)。
受付は11月30日まで(なくなり次第終了)。問い合わせは同公園(072-296-9911)

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