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料理で旅して 世界の家庭料理レシピ集を発行

2021.11.04
「手軽に作れるレシピもあるので楽しんでほしい」と話す山根さん

 

とよなか国際交流協会(豊中市)がレシピ集「世界を食べよう」を発行した。地域に暮らす外国人による11ヵ国、約40の家庭料理を収録。企画した同協会の山根絵美さんは「コロナ禍で海外に行けない今、レシピ本を通じて世界の味を楽しんでもらえたら」と話す。

 

料理教室のレシピを一冊の本に

 

同協会は、2014年から年に2~3回、主に市内在住の外国人を講師に招き料理教室を開催。

毎回20人ほどの市民が参加し、現地の家庭料理や食文化に触れながら交流を重ねてきた。

 

料理教室

コロナ禍以前の料理教室の様子

 

ところが新型コロナ感染拡大の影響で、2020年から開催が困難に。何か代わりにできないかと、レシピ集を企画。料理教室で6年にわたって紹介してきたレシピを1冊にまとめた。

 

「人や文化が見える本」に

 

レシピ集には、生春巻き(ベトナム)やガパオライス(タイ)などポピュラーな料理の他、揚げ焼きにする「タイ風オムレツ」や、バゲットに乗せて食べるルーマニアの「ナスのサラダ」、アボカドを使った「インドネシア風かき氷」など、日本では馴染みのない料理も多く並ぶ。

山根さんは「レストランにあるような外国料理ではなく、家庭料理を紹介したかった」という。

 

インドネシア風かき氷「エス・チャンプル」

 

ナスのサラダ「サラタ・デ・ヴィネテ」

 

鶏肉のピリ辛シチュー「アヒ・デ・ポヨ」

 

タイ風オムレツ「カイ・ヂャオ・ムーサップ」

コラムでは、イスラム教の戒律に沿った食べ物「ハラールフード」や「スリランカの鰹節」など食文化も紹介。

さらに講師へインタビューも行い、日本での生活や料理にまつわるエピソードを掲載した。

「異文化理解にとって『料理』は良いきっかけになる。ただ、『おいしかった』で終わってしまうと、外国の方が普段どんなことに困っているか、どんな思いで生活しているかまで見えてこない」。

そんな思いから、たんなるレシピ集ではなく「人や文化が見える本」を目指した。

 

発売当初は、コロナによる休館などで広報活動ができず、ひと月に数冊売れる程度だったが今年9月に全国紙でレシピ集が紹介されると注文が急増。

関東や九州、国外からも注文が入り、初版1,000部が完売、増刷が決定した。

山根さんは「こんなに売れるとは思わなかった。本をきっかけに、これまで協会のことを知らなかった地元の方や他府県の方たちにも活動を知ってもらえてうれしい」と話す。

 

相互理解のきっかけに

 

同協会は普段は市内に住む外国人の生活サポートをしている。

「コロナでの失業や、ワクチン接種の情報が届かないなど日本で暮らす外国の方たちは、まだまだ社会の構造としてしんどさを受けがち」と山根さん。

「この本を通して、地域に暮らす外国の方を身近に感じてもらい、相互理解、異文化交流が進めば」と願っている。

「世界をたべよう」(B5版/61ページ/カラー)500円。協会窓口またはオンラインショップ(https://atoms.official.ec/)、郵便振替で購入可能。問い合わせは同協会(06-6843-4343)

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