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これからの時代、世界に通用する子どもは、自分の強みを生かして人を幸せにする子

2021.12.11

AIが進化し、子どもたちが働き始める頃には、今ある仕事の多くがなくなると予測されています。そんな時代に幸せになるためには何が必要なのか、心理学の専門家である松村亜里さんに聞きました。

 

時代に合わせて親も変わっていこう

「世界に通用する子ども」が育つ環境

 

人には生まれつき好奇心や興味があり、これを満たしたいという動機があります。例えば報酬や罰がないと人は動かないことを「外発的モチベーション」、報酬や罰がなくてもやりたくてやることを「内発的モチベーション」と呼びますが、これからは内側からのやりたい気持ち(内発的モチベーション)で行動する人が成功する時代です。
かつて教育は、多様な子どもたちを学校に入れると、卒業するときにはルールを守り言われたことをする、同じような人を作り出すものでした。しかし、今必要とされているのは、その真逆で、多様な人たちの個性や強みを教育を通して、さらに伸ばし、主体性と多様性をさらに高めて、その人なりの方法で社会に貢献できるように支援していく教育なのです。

 

では、どのような点に留意すればいいのでしょうか。今の時代に合った形として「支援的子育て」があります。親の特徴は民主的で、子どもへの期待は高いが、自律性を尊重し、説明し、温かく、共感的とされています(心理学者、ダイアナ・バウムリンド博士の研究に基づく4つの子育てスタイルより)。現在、ご自身がこの民主的タイプでなくても、これから先、「選び、学び、できる」ように変わっていけることも知っておいていただきたいものです。
また子どもの成長に欠かせないのが「安全基地」です。不安になった時に親の無条件の愛を感じることで、安心・安全を得て、また冒険・挑戦することで、少しずつ活動の場を広げていくことができます。
そして、子どもの弱みではなく、強みに注目してみてください。親が子どもの強みを知って、それを子どもに使うように励まし、子どもがその強みを生かせるようになれば、人生満足度が高く、ストレスが低い、幸せな人生を送ることができます。「成功する」から幸せではない、「幸せな子」だから成功するのだと私は思います。

 

子どもの「強み」を伸ばせば
問題行動はなくなる

自己効力感(自分は努力すればできるんだという気持ち)を著しく高めるものに、強みに注目するということがあります。幸せな人には、強みを知って使っているという共通点があります。その理由は、強みを使うと自己効力感が高まり、その自己効力感が幸福度もパフォーマンスも高めているからです。

 

【おすすめBooks】

 

「世界に通用する子どもの育て方」

著/松村亜里 定価/1,650円 出版 : WAVE出版 Amazon、楽天ブックスなどで購入可

著者自身、2児の母であり、自らの子育て経験を踏まえながら、「幸せになる」「世界に通用する」子になるための道を、科学的に検証されている事実をもとに解き明かす一冊。「どのような関わり方が子どもの幸せにつながるのか」という温かい視点から、子どもも親自身も最短で幸せになる道を提示してくれる。

 

この方に聞きました

松村 亜里 さん
ニューヨークライフバランス
研究所代表

母子家庭で育ち、中卒で大検を取り、朝晩働いて貯金をしてニューヨーク市立大学入学。首席で卒業後、コロンビア大学大学院修士課程(臨床心理学)修了。秋田大学大学院医学系研究科博士課程(公衆衛生学)修了。医学博士/臨床心理士/認定応用ポジティブ心理学プラクティショナー。

■ 取材協力
ニューヨークライフバランス研究所
https://lifebalanceny.org/
「より幸せに生きる方法」を科学的に研究しているポジティブ心理学やウェルビーイングの学問を、誰もが毎日の生活に取り入れやすい形で伝えている。

記事内の情報は取材当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。