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【SDGs】キャンドル作りで癒しと豊かな暮らしを

2022.01.01
代表理事の角尾さん。新しいキャンドルのアイデアが次々浮かび、
商標登録を取得したキャンドルもあるそう。

 

生きづらさを感じている人のために

精神的な病を抱えて生きづらさを感じている方や、引きこもりの方が、自宅でキャンドルを作って販売に繋げていけるよう、障害者施設での講座や通信講座を行っている『一般社団法人ハンドメイドキャンドル協会』。代表理事である角尾みなこさんは『発達障がい者の家族の会』にも所属し、売上の一部を障害者施設へ寄付している。その様々な取り組みについてお話を聞いた。

協会を設立したきっかけは障がいがある子の母になったこと

角尾さんには、すでに成人している息子さんが2人いる。適応障害で引きこもり傾向の長男と、思春期に知的障害が発覚した次男だ。息子たちとどう向き合えばよいか悩んだ角尾さんは『発達障がい者の家族の会』に参加してたくさんの経験談を聞き、勇気をもらったという。そんな時に出会ったのがキャンドル作りだった。色とりどりのパーツで飾っていく楽しさが気分転換になり、キャンドルの炎の動きには“1/fのゆらぎ”という癒し効果があることや、炎から発生するマイナスイオンがストレスを和らげることを知り、親子を癒したいという想いで同協会を立ち上げた。

個性あふれるさまざまなキャンドルホルダー。主な活動は、障害者施設などでのキャンドル作りのワークショップや、インストラクター育成講座の開催。キャンドルの展示会や、作者から買い取って委託販売も行っている。「楽しんでもらえたらいい。だから常に低料金なんです。キャンドル作りを機に、障がい者の方が1人でも多く社会や人と繋がってほしい」と角尾さんは話す。

個性あふれるさまざまなキャンドルホルダー。

肩書きが自信になり充実感が生きるよろこびに

ワークショップでは自由にやってもらい、個性を生かすように心がけている角尾さん。「最初は緊張している障がい者の方達も、キャンドルを作り出すと段々表情が柔らかくなるんです。そして帰る際には笑顔と拍手で送ってくれるのがうれしくて。自分の作品が完成して達成感を得ると、皆さん心を開いてくれるんですよね」と語る。そうして出来上がった作品の個性豊かな発想力に毎回驚かされるという。「通信講座では肩書きを持つことで自信を育んでほしいから、キャンドルアーティストの資格を取得できるようにしています」。家から出なくても、オンラインで1日受講すれば済むなどの工夫をしている。

押し花、バースデーキャンドル、廃棄パン、珈琲やお茶の出がらしの再利用キャンドル。灯すとそれぞれの香りがする。

捨てられる物もキャンドルにしてアップサイクルへ

協会の活動が広がると、毎年余るバースデーキャンドルや、捨てられる珈琲やお茶の出がらしでキャンドルができないか等、再利用のアイデアが集まるように。そして現在、豊中SDGsパートナー登録として活動している。来年3月には『豊中市立eMIRAIE環境交流センター』主催のアップサイクルをテーマとしたイベントにも出展予定だ。また作ったキャンドルを豊中市のふるさと納税返礼品に登録するなど、キャンドル作りを通した障害者支援が社会貢献へと発展し、角尾さんの理想に近づいている。


PROFILE

一般社団法人 ハンドメイドキャンドル協会
豊中市城山町1-10
人と関わることが難しい人達が、キャンドル作りで癒され、社会とつながっていけるよう、令和元年に設立。

 

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