俳句コーナーVOL.29 入選作品を紹介!
2022.01.28
12月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
旋回の鷹に紙片のやわらかさ
箕面市 高橋 真美
季語は、「鷹」。悠々と冬空を旋回している鷹。硬さは感じられません。敵がいない鷹には怖いものはいないのです。その様子を紙片のようなやわらかさが感じられると詠いました。鷹の鋭さがが際立ってきます。
【 入 選 】
追伸のやうな狭庭に石蕗の花
吹田市 辻井 康祐
俳句では、かなり離した喩えが有効です。「追伸のような」は絶妙。
初暦壁になじまず反りゐたり
吹田市 小澤 桔梗
これから月日を経るうちに馴染んでくるのでしょう。この姿が初暦です。
無病とはなんとぜいたく大根焚き
茨木市 河本 要
年末の京都了徳寺の行事が大根焚。無病への感謝の思いが伝わってきます。
冬晴れや犬にしっぽという言葉
箕面市 高橋 真美
人間には尻尾という言葉ありません。その不思議がこの季語で蘇りました。
餠搗きや昭和に七人家族あり
豊中市 小倉 佳子
昭和の家族は子供が多かった。餅搗も賑やかだったことを思い出します。
【 佳 作 】
坂道の枯葉踏み踏み悪事断つ
豊中市 佐々木 愛子
ナナハンを磨く男や日脚伸ぶ
吹田市 堀田 恵美子
病室の開かぬ窓辺に小鳥寄る
高槻市 小梶 公子
天幕の破れか冴ゆる金星か
茨木市 山﨑 登代子
お雛様母に似てくるお顔かな
茨木市 阪上 あいこ
◆ つぶやき評 ◆
私たちの日常は散文です。そのため、いつ、だれが、どうしてどうなったという形を俳句の定型に押し込めようとします。俳句は韻文ですから、この押し込めを嫌います。省略という手法によって、より韻文に近づけてください。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)
1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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